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DIARY

ごきぶり日記327

日本語力


日本経済新聞 8月16日(土曜日)一面の「日本語力」(上)を読んで同じ ことを想い出した。
「新人の社員に“飲みに行くぞ”と声を掛けたら、“いいですよ”といわれ、 良いか悪いか判断するのは新人なのか、と怒るよりびっくりした」とある。

だが、これは多くの年輩者が経験していることではなかろうか。上司が“飲み に行くぞ”というのは“おごってやるよ。一緒に来い”という一種の命令に近く、 同意を求めているものではない。
お金を出して、連れていってやろうという温情に“いいですよ”はピントはずれ もいいところで、“ご馳走になります”というべきところを“嫌だけど、ついて 行ってあげてもいいですよ”となってしまう。

“嫌なら来る必要ない!”となる。上司や目上に対する失敬な言葉だという意識 と認識が全くないらしい。
そういえば気になるのが敬称で、氏名の下の「・・殿」は同輩か目下に対して使う もの、公用の役職がつく場合は「××課長殿」で、というのが常識だったと思うの だが、これがまたまったく意識されない。

同様に「先生様」は敬語の重複として無知の代表のように扱われて来たが、これも 横行する。大企業の電子メール洪水の中身は恐らく、誰かれなくこの「・・殿」だ と思う。まるで「長幼の序」などこの世から消えてなくなったかのような風潮だ。
どうやら「殿」は最大の敬称だと思っているのかも知れない。

社内の文章でその都度役職を書くのが煩雑だと、記号で表すところがある。
例えば部長はB、課長はK、主任はSである。閉じた社会の中でのルールなら、 こんな失礼な表現でも良いと思うが、次第にそれが社会一般に通用すると思いこむ ようになる。

「・・取締役」と呼ぶのが面倒くさいとばかり、「・・取」をはやらせようとした 人間がいたが、さすがに一喝されてしまった。
それなら「・・さん」とさん付けに決めた方がよほど失礼がなかろうにと思うが それがなかなか見あたらない。今の時代、案外敬称に苦しんでいるのかも知れない。

ここまで言葉が乱れてくると、時代と共に本来の意味は失われ、間違った解釈が 多数派を占め、それが正しいということになる。
蛇足だがこの記事の書き出しに「日本語をめぐる議論が、かまびすしい・・」とある。
かまびすしいとは「囂しい」と書き、うるさいとか騒々しいという意味でだが、 あえてこんな普段見かけない表現を使ったのは「日本語力」のテーマにこだわった のかも知れない。

 

 

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