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DIARY

ごきぶり日記312

飛び出してはみたものの


企業の人員削減手段として「早期退職優遇制度」が一般化しているが、相変わらず 退職金の上積み金額にふらふらっと乗って、会社を辞めたのはいいが再就職の道が 全くなく、厳しい現実にやっと気が付いたという話が多いらしい。

実はこの話は随分前から問題にされ、テレビでも何度となく特集を組んでいたの だが、これは自分の認識の落とし穴なので、なかなか気づかない。
それに退職金の積み増し額が大きい。規定の退職金の1.5〜2倍程度になるのでは あるまいか。数千万円を余計に貰う魅力には勝てないこともあるが、それだけの 大金を貰っておいて、今度はほかで今までと同じ給料を貰おうと考えることが根底 にあるのではあるまいか。

大企業という集合体は不思議なものだと考えることがある。
資本と共に規模を追求し、大きなブランド、つまりネオンサインが煌々と輝く。 組織という骨組みがあり、その骨格にピタッと当てはまるように社員が教育され、 やがて見事にその血となり肉となって一体化する。

新人も然りで、やがて見事な組織の一部に融合して部下を持つようになってゆく。 間もなく限られた領域に於いては領主となり、次第に仕事が面白くなって部下から は頼られ、そしてちやほやされる。自分には何でも出来るのだと思い込んでも不思議 ではない。

それが会社の対外的信用、組織の力、資金力(金をひねり出す力)、さらには優秀 な部下の存在、という自分の力以外の背景が支えているということが見えなくなる。
仕事を探して駆けずり回るわけではない、資金繰りのために銀行をかけずり回った 経験もない。少なくとも今の今までは安泰であったお城の中で、それらの傘になって いる力をすべて取り除いた時、自分は何を持っているのだろうか、一人で何が出来る のだろうか、と考えて見ろという方が無理かも知れない。

だからリストラ、再就職となっても固く身に付いた会社の「鎧」が、なかなか剥が れない。「あなたは何が出来ますか」と聞かれると「管理職が出来ます」という答え が返って来るという。「管理職」、それは出来上がった組織の中で幾つかの歯車を 動かすもう一つの歯車でしかない。組織から不要とされた歯車が、そのまま当ては まる社会のメカニズムなどありようがない。
自分は何処に行っても働けると思い込んでいる人が如何に多いことかである。

最近の新聞論調は「自分に何が出来るかと考えて思い当たるものがない人は、簡単 に飛び出さないで何処までも企業にしがみついていろ」という言い方になっている。

 

 

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