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DIARY

ごきぶり日記293

悠々たり多摩川の自然


毎度ご紹介するように、我が家から多摩川まで約200メートル足らず、つまり 東京の繁華街とは縁のない、悠々たるド田舎である。

橋でいうならば是政橋(府中街道)と多摩川原橋(鶴川街道)の中間に位置して いる。アゴヒゲアザラシが住みついたあたりは、丸子橋近辺とのことだから、 そこから第三京浜、二子橋(玉川通り)、新二子橋(国道246号線)と幾つかの 橋を挟んだ上流になる。
昭和20年代後半までは、夕方になると鮎の釣り人が腰まで川に浸かり、長い竿で 疑似餌を上流から下流に流すさまが景観であった。
その後、高度成長と共に川は汚れ放題となり、洗剤の泡だらけと言っても過言で ないほど荒んで行った。荒れきった川は痛々しくて見たくないという想いから 暫くはこの土手に出ることが少なかった。

多摩川 最近、妻が大病を患い、そのリハビリを兼ねて朝の散歩を始めたので、一緒に付き 合って遊歩道を歩くことにした。
驚いたことに川が綺麗に復活している。澄んだ水流はあるところではゆっくりと、 あるところに来ると瀬音を立てて悠々と流れている。もう駄目かと思った多摩川が 復活していることに、何とも言えない救いを感じた。

多くの人が川の浄化に取り組んで来られたのだろう。川を見ていると何もしなかった ことが恥ずかしく感じるほどである。大気汚染も騒音も無い、こんな自然の中で朝 早く歩くのは今や贅沢なのかも知れない。
「海まで30km」の標識を見ながら歩くと、川中には昔ながらに腰まで浸かって長い 釣り竿を操っている人がチラホラと見える。

この時間の遊歩道はちょっとした登山道のように賑やかである。明らかにリハビリ と思える年輩の人が杖を頼りにゆっくりと歩く。若い人がジョギングで走り抜ける。 自転車を飛ばす人もいる。毎朝欠かさず歩くこと、走ることを日課にしている人た ちの顔は明るい。すれ違いざまに“お早うございます!”と元気に声を掛け合って 過ぎる。

毎日の暗いニュースは世の中が殺伐とした救いようのない状態に落ち込んで行く ように感じるが、此処にはその昔の綺麗だった多摩川の姿と人の心が残っている。 やがて残暑が去り、川に冷たい風が吹く頃は訪れる人もまばらになるに違いない が、それだけにゆく夏を惜しむように東京に残された自然を満喫しようとしている ように感じる。
多摩川には名物の鯉を始め、多くの魚が住んでいる。アゴヒゲアザラシも毎日の 食には困らないだろう。今のところのんびりと暮らしているようである。

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