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DIARY

ごきぶり日記291

販社がメーカーを牛耳る


その昔、随意契約だとか、指名入札を受けていた大企業はその基本において実に しっかりした技術とシステム、それに社内教育というコントロール下で、人的統卒 が取れていた。

確かにこれは終身雇用制や企業内教育という日本的経営を基盤として、永年培わ れたもので、競争の無い環境の中で良家の子女のようにすくすくと育って来た。
若者はこうした大企業に入らなければ人間でないとばかりに、先を争って入社しよ うとする。

一旦入ってしまえばそこは特定の企業という閉じられた、居心地の良い社会で あって次第にこの社会の外のことは判らなくなって来る。
それでも企業が右肩上がりで成長を続けている時代は何の問題もなかったが、 バブル崩壊後は世の中が一変してしまい、こうした企業は“塗炭の苦しみ”を味わ っている。

今さら何でこんな話をぶり返すのかと言われそうだが、最近興味ある出来事にぶつ かった。こうした特定メーカーも棚ぼた式の官需や特定な受注はなくなった。
ならばとご多分に漏れず自主事業を始める。自主事業という言葉は実に変な感じで ある。元来民間の会社なのだから始めから自主事業の筈なのだが、こういう言葉を 使うところにお仕着せで下請け的な下地が丸見えなのである。

まぁ、そんな事はどうでも良いとしてこんな会社が始めて自分の製品を世の中に 出し始めた。それでは使わせて頂こうかと価格を問いただして驚いた。
べらぼうな値段なのである。ある技術を使ったLSIをAと仮定しよう。Aは何だ かんだとLSI単品では売らない。このAを乗せて若干の付加価値をつけ、使いやす くした基板を製品として販売する。

何故単品で売らないかというと、使い方が難しくそのためのケアが大変で商売に ならないということが表向きだが、実は付加価値をつけること、価格を判らなく することが本音かも知れない。原価計算をして見ると数万円ものが数倍どころか、 数十倍の値段が付いている。この価格もあって無きに等しく、相手の顔色、つまり 買う気や量で値段が大きく動く。

はて、人の足下を見るこんな戦略がこのメーカーに出来たかな?と思って更に聞く と、何と価格戦略は販社がやっているらしい。それで納得した。この会社は原価を 積み上げてその上にオーバーヘッドと何某かの利益を乗せて出荷価格を決めること しかやって来なかったのだから、当然と肯ける。

それにしても製品の価格戦略まで商社に握られているとは呆れ返る。
マイクロソフトほどの商売上手にとは言わないものの、自分で市場を読み、価格体 系と戦略を決め、競争を挑むのがメーカーだという自覚がいつになったら育つやら である。ごちゃごちゃ言うまでもなく、これが事実なら自然消滅するのだが・・・

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