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DIARY

ごきぶり日記282

巨艦の終わり


「NEC、富士通など旧電電ファミリーに激震が起こっている。ドル箱だった1台 数億円という電話交換機。その新規投資をNTT東西地域会社が原則としてストップ してしまったのだ(後略)」=日経新聞4月4日(木)一面“薄明かり景気− 消えぬ不安”から=

戦後復興の担い手であった通信機業界。この中でも電電ファミリーと呼ばれた NF0(NEC、富士通、沖電気の3社)は当時の電電公社の随契(随意契約) メーカーとして、事業展開を大きく伸ばしてきた。戦後半世紀の栄耀栄華の 歴史である。

交換接続のためのスイッチング方式には、進行運動型機械スイッチ、開閉型機械 スイッチ、電磁リレー型スイッチ、空間分割型電子スイッチなど、数多くの方式 が出ては消える華やかな開発競争を展開してきた長い華やかな歴史がある。
この中で代表的なものが進行運動型ではA形交換機(ストロージャー方式)あるい はH形交換機(シーメンス方式)などで、太い筒が呼び出しに応じてカタカタと 上がり、あるところで止まって回転を始め、接続先を探すという極めて原理的な ものであった。

とはいうものの、我が国では80年代になってクロスバー交換機が出現するまで は、このA形交換機が主流であった。その後、電子交換機の時代に移り、DIPSなど に代表される最先端電子交換機の技術によって国内の電話網が飛躍的に発展して きた。

ところが時代は瞬く間に大きな変遷を示した。インターネット時代の技術の奔流は 伝送路をWDM(Wave Division Multiplexer−光波長多重方式)に、また交換機 相当にギガビットルータというように、高価で大きい設備投資を要らなくして しまった。
物は進化する。そしてある一定の進化を果たすと消滅する。人間社会も同様に 進化し、消滅するのかも知れない。

旧電電ファミリーも百歳に達する。多くの先輩が開発に、生産に携わり、その想い は一方ではないはずである。
電話網は国の動脈に相当する。新しい技術が生まれたからと言ってそれまでの設備 を廃棄してしまうわけにはいかない。過去から未来へ常に一貫性がなければ国内に 普遍的サービスを継承出来ない、技術の進化をある程度犠牲にしても Consistency を重視する、と常に言われて来た。

つまり、天下国家の命運を握る基幹事業であり、戦艦大和のように大きく、ゆった りと、そして永遠に動じない大事業の筈であった。
“交換機の発注が無くなる”インターネットの普及は、こんな部門まで押し流す 変革なのだ、というら実感が、分かり切ったことながら沸き上がって来る。

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