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DIARY

ごきぶり日記272

ステロイド人間が来る


副腎皮質ホルモン剤というステロイド系の薬は皮膚病に実に良く効く。
それだけに副作用が大きく、怖れられている面があるようだ。強い薬を使うと 速効性がある反面、暫くすると前にも増してひどい症状になったりする。

アトピー性皮膚炎などで苦しむ人が多い。本来は副腎がこれを抑える役目をして いるのだが、外からステロイドが入って来ると、身体の方は「あぁ、誰かやって くれているな、それでは私の出番は無い」とお休みするらしい。
薬はすぐ切れてしまう。だが一旦休んだ副腎の機能が仲々目を覚まさないらしい。 だから一見直ったように見えた皮膚の炎症が猛然と息を吹き返す。 こうなると、まことに始末が悪い。

人が一生懸命やり始めると、廻りがお手並み拝見とばかり手を抜くのは人間社会 でも同じこと。こういう人種をステロイド人間とでも呼ぶのかも知れない。
それでもステロイド剤は抜群の能力を有する。
米国型のコーポレート・ガバナンスの仕組みを導入出来るように、商法改正が 行われると報じている。
日本の企業はサラリーマン社員が順次昇進を繰り返して役員になる。だから使用人 と経営者の区切りがあまり明確でない。社長にすべてを握られていて、どんな独裁 にも反抗が出来ない。これが多くの悲劇的末路を生んでいる。

人間、その地位に上がるまでは改革を叫ぶのだが、さて就任すると途端に保守的に なる。あと何年か安泰に過ごせば次のポジションが待っているというのが、これ までの常道だったのだからやむを得ないのかも知れない。
所詮はサラリーマンである。かくして伝承的なファミリーが作り上げられる。
その社会では競争相手は市場ではなく、上下左右の人間関係だけだから、この秩序 を壊すような思想や行動は破壊者あるいは過激派として排除される。

社外役員は世界の常識だが、日本社会に取っては異物だし、未だかって異物が混入 した経験が無いから大きな拒絶反応を起こすに違いない。
社外から入って来る人は広く新しい目を持ち行動するに違いない。そうすると本来 の副腎は自分の役割はなくなったと感じ、動かなくなるか、逆に足を引っ張るに 違いない。つまり社外役員は強いステロイド軟膏と同じなのである。 うまく使わないと皮膚病がこじれることになる。

小泉政権とその抵抗勢力だけでなく、企業の中でも新旧のせめぎ合いが激しくなっ ている。欧米的改革が進むのか、元の木阿弥になるのか、さっぱり判らない。
“何がどうなろうと自分のことは自分で守れ”と誰かが言っている。
これも自己責任なのかも知れない。

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