ごきぶり日記270
中くらいのお目出度さ
“めでたさも 中くらいなり おらが春” (一茶)
世の中が、今にも崩壊しそうな話に満ちあふれた暮れも、いつしか通り過ぎて
穏やかな正月を迎えることが出来た。太陽系の寿命も徐々に終局に向かっている
とは言いながら未だ当分続きそうだ。
人間社会のドタバタに無関係に恙なく新年が始まってくれたようである。
さすがに今年は、おめでたい年賀状には禁句の筈の言葉が多く見られる。
「厳しい年になりそうです」から始まって「今年もまた、厳しい年・・」とある
のはまだ序の口。「・・我が社は生き残れるのか?」となり、構造改革の現状を
書き記したあとに、「我々は何処へ上陸するのか座礁するのか」あるいは、
「そろそろ年貢の収め時かな?」というようにエスカレートする。
それほどまでに見えない先行き不安が、年賀状という一片の祝詞の上に覆い被さっ
て来ている。中には「昨年、会社を辞めました。今は浪人中ですが・・」という
切実なメッセージまで入っている。「会社も大分寂しくなりました」というのは
人員整理で半減したという中堅の会社。
先行き不透明と言いながら、誰もが“これは大変!大恐慌が襲って来るぞ”という
実感が希薄だから益々ややこしくなる。
デパチカや大手のオモチャ屋(これは古いかな?)を見てきた人は“いやはや、
これは不況ではないですよ!”という。
確かにみんな驚くほどお金を持っているようだ。良いものさえあれば惜しみなく
買う。孫にせがまれるお年寄りは何でも買って与える。
昭和大恐慌と同じ状態に陥るかも、という政治家の脅し(?)とは裏腹な世相なの
で困惑しても不思議ではない。株価は3月の決算を控えて1万円を切り、年末には
13,000円を回復するという予想が大方の意見らしい。
「当たるも八卦、当たらぬも八卦」だから、これを信じる気は無いが、どうやら
日本全体が奈落の底に落ち込むことはあるまいと思っている。
大手の系列、下請け会社は直接的な影響を受けるから大変に違いない。だが、独自
の技術力を持ち、支配されないでやって来た中小は案外元気である。
むしろ「これからは我らが時代」と思っているようにも感じる。スケールを頼みの
綱として合併、統合を繰り返し、肥大化して行く企業が、やがて恐竜のように絶滅
して行かなければ良いのだがと余計な心配をする。
株は上がってきたなと思って売ると更にそれから上がるものだ。
そんな時、しまったと悔しがるより、その後に儲けた人と利益を折半したんだと
思えば良いと聞いたことがある。とことん儲ける時代は終わった。市場のパイを
みんなで分け合い、腹八分目で生きることが必要なのだろう。
そうすれば、目出度さも中くらいな幸せが訪れるのかも知れない。
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