ごきぶり日記264
おんなの惑星
久しぶりに天気にまかせて散歩と決め込む。
目の前をかすって自転車が過ぎる。
危ないところであった。ところが、その自転車、そのままつっと止まった。
私の前を塞いでいる。信号を渡って今度は反対側の信号を待っているということ
らしい。それなら何で、わざわざ私の目の前を横切って止まるのか、どうやら私が
透明人間になってしまったらしい。全く目に入らなかったということになる。
突然、タクシーが細い道から飛び出した。左右の車を心配している様子である。
車より前に歩行者がいるんだぞ!と怒鳴ったつもりだが、やはりこちらは透明人間
であった。
世の中には自分の他は誰も居ない。ゴーストタウンを歩くような無神経さが闊歩
するこの頃である。
久しぶりにデパートで食事をする。有名デパートには銀座、築地が軒を並べている。
寿司屋などはネタも良いが値段も良い。昼を過ぎているのにほぼ、満席に近い。
お隣に老夫婦が静かにお昼を楽しんでいる。
ところが、男性と名のつく人はその方以外に見当たらない。廻りは夜の宴会場の
ように騒々しい。あっちもこっちも女性の集団で、まるでお酒を飲んだように
興奮して話している。然も我々のように最低のメニューではない。高いものを惜し
げもなく注文している。
お金もある、暇もある人たちをひがむ必要はない。だが、何でこうも女性が多いの
か。昼なら当たり前ではないか、と言われそうだがこの人たちの旦那はどうして
いるのだろうか、と観察する。
夜になれば主役交代で男の世界になるのだから、という。最近はそれもままなら
ない。いつリストラされるかという心配を抱えたら、そんなに悠長に飲めるもの
ではないだろう。
とにかく、昼の世界はどこもかしこも、完全にオンナに占領された。
映画「猿の惑星」を見るように支配者が交代しているのである。
どうして女性はお金を持っているのだろうか。少なくとも若い男性はそんなに優雅
ではない。欲しいものがあるときはカップラーメンで飢えを凌いでいる。
中年の男性も財布を気にしながら焼鳥屋で我慢しているに違いない。
コンビニで安いものを漁って出て来ると、同時に“オンナの子”が出てきた。
私たちから見る限り、10代の女性である。
つと、そばに停めてあった車のドアを開けている。見るとBMWである。そう言えば
最近、若い女性がBMWとかベンツに乗り、加えタバコで運転している姿が目立つ。
これらの車種は、少なくとも一千万円以上という認識で、そんじょそこらの経営者
では乗れないという想いなのだが、安くなっているのだろうか。
そんなとき、「この車、誰に買ってもらったの? 幾らした?」と聞きたい衝動に
駆られる。
女性の就労拡大で立場が向上すれば、オトコだオンナだという感覚がなくなる。
それが世の流れなのだろう。いうなれば白昼のお楽しみを僻んでいるわけである。
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