ごきぶり日記238
待ったなしの日本というけれど
アジアの安い人件費を求めて企業の海外展開が進んで久しい。
1970年代は韓国などが日本の技術を短時間で吸収しようと、官民あげてあらゆる
手を打っていた時代であり、それからわずか15年ほどしか経っていない。
今やアジア、特に韓国、台湾、中国などは人件費が安いというだけでなく、技術力
も急激に高くなっている。
いわゆる「ハイテク・ローコスト」という現象である。
ローテク・ローコストの時代はツールとしてこれを利用していればよかったが、
進化と共に次第に日本企業の領域に浸透が始まっている。
1億総中産階級といわれた時代から更にバブルに乗って日本の人件費は急騰した。
このまま放って置けば両者の成長カーブはやがて交差すると心配されている。
そうなれば価格競争力の劣る日本は下がるだけということになる。
これが日本経済が待ったなしの状況下にあると言われる一つの要素になっている。
識者や経営者は日本は高い付加価値を生む産業へシフトすべきだという。
もっともな話ではあるが、裏を返せば普通の物作りではもう勝てないと言って
いることになる。
欧米の「高い付加価値」は言うまでもなく、yahoo!などのネットビジネス、
インテル入ってるのIntel、ルータを独占するシスコなど現代の代表的なハイテク
企業がリードして来た。これだけではない、新技術、新製品の基本技術や特許が
ほとんど握り込まれているといっても過言ではないだろう。
何故、こんなにまで寡占状態になってしまったのか、今や一流企業といえども
新製品の開発には欧米、特にアメリカからデバイスやソフトウェアをそっくり
買ってこないと出来ない。買ってくるのは我慢するとしても外国と掛け合い、
うまくこれを利用することに日本人は得意でない。
買ったもののドキュメントや開発ツールが不完全であったり、サポートも充分で
ないケースが多く、見ようによってはあしらわれているのではないか勘ぐる節も
多い。
高い付加価値を生む方向へシフトするということは正しいとして、そう出来なか
った根元がどこにあるのかは議論しようとしない。
日本人は独創性に乏しいと言われているが、そうなった原因は根元的な教育、文化
に根付いているのだろうから、そんなに簡単であるはずがない。
考えようによってはDNAの全取り替えのようなものではあるまいか。こう考えると
実に救いようのない気持ちになる。
人材派遣会社は時の寵児になっている。景気を回復するには雇用の流動性が必要だ
と声高にぶちあげる。だが雇用が流動化するためには先ず安心して移動出来る社会
の仕組みが必要だ。
アメリカのように一つの業界が一つの会社と同じでその中を移って歩く仕組みと
社会的な認知が出来ていない。レイオフ、リストラが日常茶飯事で、企業への
帰属意識が薄く、個が確立されている企業社会にすぐに変われるものではない。
10数万人あるいはそれ以上の従業員を抱える日本企業のほとんどの社員は伝統的な
日本流経営の鋳型で出来上がっているのである。
この血が入れ替わるのは20年、30年後ではなかろうか。人材派遣などで急進して
いるベンチャーの経営者にはサラリーマン経験が無い人が多いから、この歴史に
根付いた構造と精神構造をいとも簡単に破壊出来ると思っているらしい。
改革に対して社内では大きなレジスタンスが起こっていることを大企業経営者は
よく知っているが口にしようとしない。
大企業の中にも「日本的経営が何で悪いんでしょうね?」と嘆く幹部もいる。
どちらが良いのではない。どちらが人間に戦意と生き甲斐を与えるかだと思うの
だが。
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