ごきぶり日記237
製造業は生き残るか
デフレスパイラルは大手メーカーにも竜巻のように襲いかかって来たようだ。
製品の実勢価格(Street Price)が瞬く間に下がってゆく。
こうなると作るだけ、売るだけ損が出る。単純に考えればこのまま推移すれば
メーカーが物を作る意味がなくなってしまう。同時に売る物もなくなるという
ことになる。
まさに消耗戦で、これから繰り広げられる安値競争にとことんまでついて行かな
ければならない。そのメーカーにしか出来ない特殊な技術、製品ならいざ知らず、
一般には先ず原価が問題になる。
言うまでもなく原価構成要素としては、
・資材費(部品、素材など)
・工数(組立、配線、検査など)とそのローディング。
などがある。
このうち、一般的な資材費は同様に値下がりしているものの、心臓部のデバイス、
LSIなどはその技術を持ち、市場を抑えているデバイスメーカーの戦略上、極めて
高く、なかなか安くならない。ソフトウェアにしてもライセンス契約でがっちり
押さえ込まれ、サポート料などがコストに占める割合が次第に大きくなる。
通信機器など新しい技術を欧米、特にアメリカが支配している現状では如何とも
し難い。
だが、見ようによってはこれはデバイスメーカーの戦略であり、装置メーカーは
購入者として、それぞれ対等な条件下にあるともいえる。
そう考えれば部品や資材の調達上の巧拙かもしれないから、Excuseの材料には
使えない。
それでは工数はどうだろうか。既に自動化(マシンローディングは増えるが)や
海外労働力の活用によって限界まで努力されている。従って総コスト中に占める
工数の割合は小さく、これをいじっても効果は少ないことだろう。
原価低減に最善の努力を行った結果としての原価Aがあると仮定する 。
その原価に適正な OverHead(OH) と適正な利益を加えたものが、現在の市場競争
で Competitive ならば問題ない。高ければ更に見落としていることがあるのかも
知れない。
単純な話、問題はこの OHにあるのかも知れない。OHは大きいということは
言うならば“頭でっかち”であり、例えばこの値が50%なら売上高原価率50%
で利益ゼロ(限界原価率=50%)となる。つまり、売値の半分で作っても
儲けは無いということである。
このOHを原価低減で何とかしようなどと考えるのはナンセンスで、戦場で重い荷物
を背負って槍を振り回すようなもので敵に勝てるわけがない。
銀行の不良債権と同様に、企業はこの過大なOHに苦しみ、贅肉を落とそうと必死
の努力を重ねている。
カンパニー制で事業責任を明確にすると同時に、コーポレート部門をスリム化
する。カンパニーは生産工場をEMSとして独立採算にする。出来なければ売却する
という荒療治を始めた。
まさにサバイバルは佳境に入ってきたようである。
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