ごきぶり日記234
チーズはどこへ消えた?【1】
「チーズはどこへ消えた?」Who Moved My Cheese?
迂闊なことに、この本が爆発的な人気で読まれていることを最近まで知らなかった。
それでは一応、読んでみなければと早速目を通すことにした。100頁程度の内容
なのでそんなに時間のかかるものではない。
「スニッフ」と「スカリー」という二匹のネズミと「ヘム」と「ホー」という名の
二人の小人が主人公であって、「チーズ」を求めるこれらの登場人物の考え方や
行動を介して、人間が如何に与えられた環境に安住しがちで、変化に対して臆病に
なるものか、あえて変化をして見ればそこには無限の可能性が開けることかを説い
ている。
頭脳は単純だか、行動力抜群の「スニッフ」と「スカリー」は迷路で行きどまれ
ば引き返しまたトライする。「ヘム」と「ホー」は複雑な頭脳で高度な方法を
とる。やがてこの二匹と二人は迷路の中のチーズ・ステーションCでチーズの山を
発見する。
問題はここからで、あり余るチーズに有頂天になった二人は、そこに安住すると
共にこの生活が永遠に続くものという錯覚に陥る。座して食らうのだからチーズは
やがてある日、跡形も無く消えて無くなる。
ネズミたちは動物的感覚でチーズの無くなることを知り即座に行動を起こし、次の
チーズ・ステーションNを発見する。
小人たちはこの場所の夢を捨てきれず、しがみつきながら不安と空腹と絶望の中に
落ち込んで行く。「ホー」はその苦しみゆえに不安と闘いながら行動を起こし、
やがてチーズ・ステーションNに達する。
だが、「ヘム」はCの夢を捨てきれず、復活を夢見て動こうとしない・・。と
まぁ、こんなあらすじである。
戦後半世紀、“チーズを手に入れれば幸せになる”と信じて、がむしゃらに働き
続けた日本人はついにチーズ・ステーションCを手に入れる。
そして、その楽園に安住し、チーズをむさぼる生活を続ける。当然のことながら
やがてチーズは底をつく。誰もこの楽園に終わりが来ようなど考えようとはしな
かった。
“自分のチーズが大事であればあるほどそれにしがみつきたくなる”という。
バブル崩壊とグローバリゼーションで世の中が一変し、その変化の早さについて
ゆくのが大変な世の中になってもチーズ・ステーションCの復活を信じて行動
しない「ヘム」的人間が多数出来てしまったのかも知れない。
多くの企業トップは過酷な国際競争を身に染みて実感している。その不安と恐怖
から新しいチーズを求める行動を起こそうと必死である。
だが、周りには多くの「ヘム」がいて足を引っ張っているらしい。
いや、足を引っ張っているのではない。頭の中では変わってゆく世の中を知り、
自分も変わらなければと思っているに違いない。でもキョロキョロと周りや上を
見て、それに合わせて行動する。まだまだ「ホー」のように苦しみもがく環境に
ないから、自ら行動を起こすに至らないということだろう。
そう言えばどこやらの政党の総裁選でも派閥政治という、カビの生えたチーズの
復活を夢見て最後の抵抗を試みていた「ヘム」が大勢いたようだ。
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