ごきぶり日記233
待ったなしの日本というけれど
アジアの安い人件費を求めて日本企業の海外展開が進んで久しい。
1970年代は韓国が日本の技術を吸収しようと官民あげてあらゆる手を打っていた
時代だったが、それからたかだかが20年しか経っていない。
今やアジア、特に韓国、台湾、中国などは人件費が安いというだけでなく、
技術力も急激に高くなっている。
いわゆる「ハイテク・ローコスト」という現象である。
ローテク・ローコストの時代はツールとしてこれを利用していればよかったが、
次第に日本企業の技術領域に浸透し始めた。一方、日本の人件費は1億総中産階級
といわれた時代から更にバブルに乗って急騰していった。
このまま放って置けば両者の成長カーブはやがて交差すると心配されている。
そうなれば価格競争力の劣る方は下がる一方ということになる。
これが「日本経済は待ったなしの状況下にある」と言われる一つの要素になって
いる。これに対して識者や経営者は、日本はより高い付加価値を生む産業へシフト
すべきだという。
もっともな話ではあるが、裏を返せば普通のことではもう勝てないとギブアップ
したことになる。
欧米の「高い付加価値と成長」は言うまでもなく、yahoo!などのネットビジネス、
“インテル、はいってる”のIntel、ルータを独占するシスコなど現代の代表的
ハイテク企業がリードして来た。これだけではない、新技術、新製品の基本技術
や特許がほとんどアメリカに握り込まれているといっても過言ではないだろう。
何故、こんなにまで寡占状態になってしまったのか。今や一流企業といえども
新製品の開発には欧米、特にアメリカからデバイスやソフトウェアをそっくり
買ってこないと出来ない。買ってくるのは我慢するとしても外国と掛け合い、
うまくこれを利用することに日本人は得意でない。
買ったもののドキュメントや開発ツールが不完全であったり、サポートも充分で
ないケースが多く、見ようによっては“あしらわれている”のではないか勘ぐる
ふしも多い。
高い付加価値を生む方向へシフトするということは正しいとして、
そう出来なかった根元がどこにあるのか根本的な議論しようとしていない。
日本人は独創性に乏しいと言われているが、そうなった原因は根元的な教育、
文化に根付いているのだろう。とすればそんなに簡単であるはずがない。
考えようによってはDNAの全取り替えを行わなければならないのではあるまいか。
こう考えると実に救いようのない気持ちになる。
人材派遣会社は時の寵児になっている。景気を回復するには雇用の流動性が必要
だと声高にぶちあげる。だが雇用が流動化するためには先ず安心して移動出来る
社会の仕組みが必要だ。
アメリカのように一つの業界が一つの会社と同じで、その中を移って歩く仕組み
と社会的な認知が出来ていない。レイオフ、リストラが日常茶飯事で、企業への
帰属意識が薄く、個が確立されている企業社会にすぐに変われるものではない。
10数万人あるいはそれ以上の従業員を抱える日本有数の企業のほとんどの社員は
伝統的なファミリー中心の日本流経営の鋳型で出来上がっているからである。
血が入れ替わるのは20年、30年後ではなかろうか。人材派遣などで急進している
ベンチャーの経営者にはサラリーマン経験が無い人が多いから、この歴史に根付
いた構造をいとも簡単に破壊出来ると思っているらしい。
改革に対して社内では大きなレジスタンスが起こっていることを大企業経営者は
よく知っているが、これも口にしようとしないのである。
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