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DIARY

ごきぶり日記229

雪の鶴岡へ


東北地方は奥羽山脈によって東西に分断されていることは言うまでもないのだが、 此処を旅するとこのことが如何に交通の便を妨げ、地域の発展に差異が生じている かということが身を持って思い知らされる。

時は春三月に入ったある日、急ぎ鶴岡市に向かった。鶴岡は山形県の北西、日本海 沿岸に位置して人口10万余の都市である。
鎌倉時代初期に地頭、武藤氏が居城「大宝城」を築き、その後上杉影勝から最上 義光に移って鶴岡城と改称されたという。現在は鶴岡公園となっている。

交通の便は上越新幹線で東京〜新潟間は約2時間余、そこからは羽越線で1時間 50分かかる。羽越線の「特急いなほ」はほぼ2時間間隔の運転なので、下手を すれば5時間から6時間かかることになる。
もう一つの方法は山形新幹線「つばさ」で開通したばかりの終点、新庄まで進み、 列島を西へ横断する「陸羽西線」に乗って余目(あまるめ)まで行き更に羽越線に 乗り換えて鶴岡まで下ることになる。

今回は後者の路線を辿ることにした。東京では桜のつぼみが膨らむのではないかと 思われるぽかぽか陽気なのに、福島を過ぎると本格的な雪が新幹線の窓に叩きつけ るように降り注ぐ。“春など知らぬ”とでも言いたげな猛吹雪で外の景色は時々 見えなくなる。

在来の奥羽本線を使った新幹線は、まるで鈍行列車のように感じられるほどに ゆっくりと進む。この線は赤湯、かみのやま、天童など、まるで温泉巡りのように 東北の有名温泉を転々としながら進む。東京−新庄間は約3時間30分。

終点の新庄駅から、今度は日本列島を日本海に向けて横断する陸羽西線に乗り換え る。二両連結のジーゼル車でダイアは日中ですら1時間10分程度の間隔である。 ワンマンカーで乗降は先頭の一カ所だけ、駅に停まるたびに車掌が駅員を兼ねる。
駅は雪に埋もれ、駅名も次の駅も読むことが出来ない。曇った窓ガラスを拭いて 外の景色を確かめる仕草はなんともうら寂しい。

この列車の最終点は酒田だが、その一駅手前の余目(あまるめ)で羽越線と交わる。 これも約1時間。余目の少し手前に清川という駅がある。此処は幕末の志士、清川 八郎の出身地である。再び乗り換えて羽越線を下れば15分ほどでやっと鶴岡到達 する。何と待ち時間を含めて約6時間の長旅である。

不要不急の公共工事がやり玉に挙がっている。整備新幹線もこのうちの一つらしい。 だが、東北に限らず山脈で分断された裏日本にはこれが現代かと思うような進歩し ない現実が存在する。政治の貧しさが此処にもあった。

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