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DIARY

ゴキブリ日記71

新春、都参り


家の近くの中央高速道稲城ICから、永福ICを経て首都高に入り、高速都心環状線(C1)を目黒インターで降り、 ほぼ2kmほど東へ進むと芝白金台に着く。家から約40分の道のりである。

此処に都ホテルがある。 何もこのホテルの宣伝をしたい訳ではないが、実は大晦日から正月の2日まで、「牛に引かれて善光寺参り」ならぬ、 家内に引かれて都ホテル参りとなってしまった。
ご当人の思惑は、子供たち夫婦の来襲と煩わしいおせち料理の準備を避け、上げ膳据え膳の正月を目論んだに過ぎない。

実は10年前に同じこのホテルの年末年始のイベントに参加した記憶がある。
それから10年、毎年欠かさずに案内が来ているそうで、ついその熱意にほだされた、という訳でもないが、 商売とはこうして一度掴んだ客は離さない執念が身を結ぶものだと妙な感心をする。

大晦日から元旦、2日とイベントが続く。 中でも元旦は大黒舞、獅子舞から始まり元大関、小錦 北天祐が一門の弟子を連れての餅つき大会、 新春演芸場では手品や三遊亭小遊三の高座とホテルから一歩も出なくても充分に楽しめるように企画してあり、 多くの従業員が汗水流してサービスに、これつとめる。
だが、関取衆は餅つきに慣れていないらしく、よくこなれずにつぶつぶの残った腰のない水餅のような出来であった。

よく見ると小学生から幼稚園くらいの子供連れのファミリーが多い。 よくまぁこんな高いところへ大勢でと想い、これならまだ日本の景気もまだ捨てたものではないと新春早々ほっとする。 だが、さらに観察するとその後ろには必ずおじいちゃん、おばあちゃんというスポンサーが付いているのに気づく。 やはり、1200兆円はこのあたりが持っているようである。

なんと云っても、こもかぶりの樽酒が待ち遠しい。 山と積まれた白木の升を自由に取って勝手に手酌で飲みながら占いなどのイベントを冷やかす。
だが、一滴も飲めない家内のお供では、杓子で汲む度に「まだ飲むの?」であり、何とも味気ない。 此処に刎頸の友が居り、談論しながらであったならとあり得ないことを考える。

ついに、友を求めてホテルの副支配人と長々と話し込む。
「以前、同じ此処のイベントに参加したんですよ。 何年前のことだったかとフロントに聞いたところ、コンピュータシステムが更新されて旧いデータが入っていないんです。 といわれましたよ。最も大事なデータですよね」
「申し訳ありませんねぇ。セキュリティが増えて、データが入りきれなくなったんですよ。X社なんですが」 これはまずい、この話はこれまでと話を逸らす。

明治神宮の初詣がイベントに組み込まれている。 といってもマイクロバスで10数分、玉砂利を踏むと全く変わらないその姿に、その昔がよみがえる。

「神様が変わる分けないか」と一人ごとをつぶやく。仮設大プールのような賽銭箱には一万円札が見あたらない。 心なしか、あるいは賽銭箱が大きすぎるのか、お賽銭が寂しげである。 ホテルのお隣りさんの「清正公神社」でも良かったかな?と不心得なことを考えながらお参りする。

とにかく、相も変わらぬ新年を迎えられたことに感謝しなくては。

 

 

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