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DIARY

ゴキブリ日記58

チンチン電車


その昔の都内を縦横に走っていた電車、市電といった頃から市民の生活の一部となり、親しまれて来た「チンチン電車」の話である。
なぜチンチン電車というかって? 発進の際、運転手が右手にぶらりと下がっているひもを「チンチン」と2回鳴らす。 この音がチンチン電車の由縁であり、庶民の生活の音と郷愁であった。

日本最初の路面電車は1885年(明治28年)京都に生まれた。 (京都電気鉄道)路面電車の最盛期は、全国65都市にわたり総路線長は約1500Kmに及んだ。
現在は19都市、240kmだそうである。(10月4日 朝日新聞夕刊)

電柱は短い間隔で道の両側に立ち並び、架線とその支持線が蜘蛛の巣のように道路の空を覆う。 道路の真ん中を占領し、時速40kmの制限速度でのんびりと走る。 戦後、次第に建設費や運営費でバスに押され、車社会の進展とともに邪魔者扱いにされ、急速に姿を消して行った。

その路面電車が各地で復権の兆しにあるという。
車が急速に増加し、公害、道路問題、駐車場難を引き起こし、車社会は既に行き詰まっている。 こうした社会環境の変化の中で、路面電車が低公害、バスより大きい輸送力、安い建設費、 それにこれからやってくる超高齢化社会に向いている、ということらしい。
地下鉄の工事費は高い。キロメートル当たり300億と云われている。 これに対して路面電車は10億〜20億円と、良いことづくめである。 それなら何故、抹殺してしまったのか。

車社会の行く末や地球の将来の姿を読み違え、また元に戻ってきたということか。 だがこれは世界各国が同じ道を歩いて来たし、戻る傾向も同じだから日本だけを攻められないのかも知れない。
そういえば10年ほど前にカリフォルニア州サンノゼで、南北に走る路面電車の新設工事をやっていた。 人々は口々に「何を今更」と悪口を云っていた。
だが、サンノゼダウンタウンには生活水準の低い黒人や老齢者が多く住んでいたので、 いま考えるとこの頃が路面電車復活のはしりだったのかも知れない。

 

 

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