(株)テクノクリエート トップページへ TOP


DIARY

ゴキブリ日記41

再びAA君と


この話は先日電話で話した続きなのだが、サラリーマン人生には幾つかの節目がある。
当然、始めは新人として大きな夢を持って入社した頃で、 次には中堅どころとして仕事に脂がのり自分が大きく見え始める頃、 そして50歳を越えたときだろうね。

今更こんな分かり切った事をくどくどとはなす気は無いんだが、最も深刻なのは最後の問題だ。
新人の頃は苦しいことがあろうとも無我夢中、 中堅あるいは管理職として手腕をふるっている頃は会社を背負って立っている積もりだから、 仕事に燃え毎日が充実している。そして時間はあっという間に過ぎ去る。
あとになって考えても忙しく飛び去る雲のような断片的な記憶こそあれ、自分の歩いた道のり、 段階そして自分の財産としての成果をはっきりと認識して生きてきた人など少ないだろうね。

子育てと家族の生活と責任の大きい仕事を夢中になってこなす毎日は、振り返る余地すら無い。
そしてあっという間に50歳を迎える事になり「今の問題」にぶつかるのだね。

企業という物は絶えず世代交替で脱皮をしながらその時代を生きるのだから、 その時を迎えた人は自分の次の生き様を自分で模索し決定して行かなければならない。 以前も話したと思うが出世街道の梯子など途中で切れているか腐っていると思った方が良い。 だが、中堅から上層管理職時代の華やかであった毎日は過去に対する自分自身の勝手な評価を作る。
「真っ直ぐな出世階段は上れなくて脇道に入っても自分に見合ういい場所を探してくれるのではないか」 という期待が徐々に定着する。

だが、トップ(直線コースを登り切る人)も企業という全体像の中での制約と都合、 それに自分の保身を加えた物差しで次の人事を考える。 勿論、よかれと思って真剣に考えてくれるだろうね。 この、いわゆる会社側の発想と自分の作り上げた期待値が一致するならば何も云うことはないのだが、 往々にして全く違う物差しであるのが世の常なのだね。

どんなに小さくても人間には、それぞれ自分の人生があり人生観があり特有の価値がある。 要するに会社と個人はその物差しが違うのだ。
次の人生について会社が考えた結論に対して 「会社勤めとはそんなもの、考えてくれただけ有り難い」と思う人、 「自分はあれだけ会社のために尽くしたのに」と思う人、様々だろうね。 もし君が大きな期待をもって世話してくれる次の職場を待つならば、 自分の期待と全く違う答えに直面して愕然とするかも知れない。

人生の節目の中で、最後でもっとも深刻なのは、 この時点で自分のサラリーマン人生の集大成を否定されたとも思える場面に直面しかねないからだよ。
人間、長い間会社という家族の中で生きていると世界を見、 世間を知って居るようでいてもっと自由な生き方や発想が出来なくなっている。
行く先に一喜一憂するよりは人間としてこれからどう生きるか考える方がもっと切羽詰まった問題なのだが。

賢明な君はこんな事はよく分かっているのだろう。だが見えない呪縛はもっと強い。 考えに考え抜いて結論を出せば、例え間違っても悔いは残らないだろう。 これは自分の失敗の経験から来る実感だ。

ではまた電話なりメールなりをください。待っています。



<ゴキブリ後記>
ある人は永い会社生活に感謝し、これからも何らかの形で関わり仲間と付き合って行きたいという。 ある人は会社と一切の縁を切って新しい自分の人生を作りたいとも云う。 中には過去の栄光のまま、未だに権力を振りかざす人もいる。
自分が生きるのにこれが最善と思うのがもっとも幸福なのだろうが、悲劇も喜劇もそこから始まる。
自然のままに。人間とはその程度だ。

 

 

みなさまからのご意見、ご感想をお待ちしております。 E-Mail: info@techno-create.com
Copyright(c)2001-2002 株式会社テクノクリエート All rights reserved.