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DIARY

ゴキブリ日記28

格言と諺談義(その3)


<ゴキブリの前置き>
Dさんと後輩の「格言と諺」の話は三回目になった。今回の話題は間違った 使い方のようだ。
うっかり間違って使っている場合とそう思いこんで信じて いる場合と意味もなく話している場合など、いろいろあるようだ。
言葉は恐ろしい。



我々が毎日使っている言葉や会話の中には、自分でも気がつかない間に格言 や諺が多く含んでいる。それだから会話が楽しくなるという面が多いね。
でも、また間違いも多い事は確かだ。

例えば、「あなたを他山の石としてこれからも努力します」といったとする。
この「他山の石」というのは、いつも何の気なしに使っているね。
この言葉の原義は「よその山から来た粗末な石」だそうだ。だからそのまま 云うならば「あなたは粗末な石だけれど私自身を磨くには良い道具だ」と いっていることになる。知らぬとはいえ恐ろしい言葉を使っているもんだね。

これは驚いた。私も他山の石として見習いますという言葉を使いますよ。
こんなことが他にもないでしょうね?

「役不足」などもその一つだろうね。「そんな仕事は私には役不足ですよ」 と云ったとする。本人は「大役過ぎて私の手に負えませんよ」と謙遜した つもりだろうが、「その仕事は私の能力の大きさからしたら軽すぎてつまら ない」といっていることになる。

おやおや、年中間違った表現をしているんじゃないかって気になってきまし たよ。まだありますか?

いまどきこんなことを云う人は居ないかも知れないが、決意表明か何かで 「私は寸暇を惜しまず会社のために働きます」といったとするね。
「----まず----」は否定形だから「寸暇を惜しむなんてことはしないで働く」 ということになる。正しくは「----寸暇を惜しんで----」なのだね。
全く、落語の落ちみたいな話になる。

「お手並み拝見」と云う言葉もよく使いますが、これなんかあんまり良い 言葉ではないことは分かっているのですが、でも間違った使い方をしている 人がいます。

そうなんだ。「出来るかい?出来るはずないよ、出来ると思うならやって みな」というニュアンスがあるから、危険な言葉だよね。ところが、 「お手並みを拝見します」とかいって褒め言葉と思って使っている例に、 たまに出くわすことがある。ギクッとするんだが本人は分かっていないから 平気なもんだ。

もう一つ、「情けは人の為ならず」という、ごく普通に使っている言葉だが、 情けを掛けるのは人の為ばかりではない、自分のためにも---という意味で 使っている場合を見掛ける。「----ならず」はやはり否定形だから「情けを 掛けるのは人の為にならない、だから断る」が正解なのだがねぇ。

難しいもんですね。いまの若い人に取って言葉は単なる符丁なのでしょう からこれから益々混乱すると思いますよ。



<ゴキブリ独白>
日本語は日本の文化そのものだから、何とか守って行きたいと考えている 人は多い。だが、まさに今の若者にとって言葉は単に同世代の意志疎通の 符丁なのだから、こんなことに関心はないとか。
日本の文化はどうなることやら。

 

 

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