ゴキブリ日記20
人を頼る
<ゴキブリ独白>
上司と部下が頼るの頼られるのとしきりに議論している。
知らぬ間に人を頼りにしたり、頼りにして裏切られたり、これが人間様の
社会らしい。
「人に頼る、人を頼りにする。と言うことは、いけないことなんですかね」
「ボランティアの問題はさておいて、こんな話がある。ハワイのHawaiian
Telephoneで会議があり、サンノゼから飛んだときのことだ。
空港に着いて待てど暮らせど、一緒に行く筈の部下が現れない。
会社に電話すると“客先の都合が出来て今日は行かれなくなった、と
云って外出しました” と云うんだ。
日本の会社の常識からすると、部下である同行者がアポを取り、
マイルストンを決めて随行するだろうね。だから当然のことと思い委せて
いたんだね。
さて私は何処に行けば良いのだろう。取りあえずホテルにチェックイン
しようと思ったが、ホテルの名前が分からない。うろ覚えの名前から電話
帳で探し、思い出そうとしたんだ。
知っての通り、空港にはずらりと公衆電話が並び、それぞれに電話帳が
付いている。ところが、驚いたことにホテルのページは全部破り取られ
ている。此処で全く手がかりが無くなった。
そのあとどうしたって?ホノルル空港から東京の本社に電話して、
“私は何処に行くんでしょう”と聞いたってわけだ。
あとでこってり絞ってやろうと思ったところ、その男は“アメリカという
ところは人に頼っていては生きて行かれないとこですよ”とすましている。
確かにね、そんなことは部下がやること、と尊大に構えているうちに、
なんにも出来ない裸の王様になりかかっていた、と考えると何も云えなく
なってしまった」
「そう言えば私も似たような経験がありましたよ。あれはデンバーだったか
シカゴだったか、同僚の運転するレンタカーをその空港の駐車場に入れたん
です。そのまま2人とも飛行機に乗り、目的地に向かったんですが、問題は
帰りなんですよ。
同僚にほかの仕事が出来ましてね。車は私が返しておくことになり、空港の
駐車場でさて車を、と思ったら何処へ置いたか覚えていないんです。
そこは千台は入るかと思われる大駐車場でしたが、とにかくうろ覚えで、
探したんですが、この辺と思ったところには無くて何時間探したでしょうか。
場面、場面を人に頼らずメモリに入れておいたら、と悔やみましたよ本当に。
何しろ、私の車は何処でしょう。と人に聞くわけにはいきませんよね。
途方に暮れて盗難届を出そうかと思っていたとき、親切な人が居ましてね。
“あんた、反対側の駐車場と間違えているんじゃない?此処は全く対照に
反対側にも同じ駐車場があるんだよ”
地獄に仏、救いの神でしたよ。こんな大きな駐車場を左右対称に作るなんて、
と云ったところで、此処はアメリカ。日本人の常識外でした。
こんなことになるのも、人に頼って行動し、自分の身を守る意識に欠落が
あるせいなんですかねえ。それとも其処がアメリカであった為かな。」
「その通りだね。アメリカでは危険な都市では地図を持って道を聞こうと
しても知らん顔して通り過ぎる人が多い。何に巻き込まれるか分からない
からだ。
その点、オーストラリアだと困った顔をしただけで寄ってきて教えようと
する。親日感情だけでなく、この国の治安が良いと云う証拠だ。
アメリカは徹底した個人主義のせいもあるが、生きるための自己防衛が強い
ので、さっきの男の云った“人に頼っては生きていかれないんですよ”と
いうことになるのかも知れない。単一民族の日本人には考えられない習性
だよね。」
「日本も段々とアメリカ的になるから、私も人に頼らない、甘えのない
厳しい生き方を身に付けなくては、と思いますよ」
<ゴキブリより一言>
我が輩の見る限り、日本人が無防備で、人に頼って生きているなどと思え
ないが、確かに上司は部下に対し、生殺与奪の権力を持ち命令を下している
うちに自分の出来る事が段々に無くなり、いわゆる無能レベルになっている。
パソコンが扱えずに女の子を呼び、教えて貰っているのもこの口かな?
それやこれ 俺だけが知ると 猿が云い。(ゴキブリ川柳より)
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