ゴキブリ日記18
続、赤ゲット物語
<ゴキブリのまえおき>
我が輩から云わせれば、この人こそ「赤ゲット」の本家ではないかと
思う。勿論、前出のK君でも、Tさんでもない。本人が語る中身を聞いて
貰えれば本家の本家たる所以がよくよく分かって頂ける。
以下、彼の一人語りである。本人の名誉の為に、「彼」とだけにして置き
たいのでご容赦願いたい。
もう一昔前になります。何処だったかアメリカの乗り継ぎ空港で予定の便
を待っている時の事でした。勿論、私だって乗り継ぎの空港待合室が何処
かくらいは案内を見れば分かります。
1時間も待合室で待ったでしょうか。アナウンスが流れていました。
アナウンス嬢の英語は早口で、全く分からないので何のことかと、聞き
流していたんですよ。そのうちにいつの間にか待合室の中は客が一人も
居なくなり、ガランとしてしまいました。いくら暢気な私でも異変に気が
つきました。空港の係員を探して何とか聞き出したところ、「この便は空港
が混雑して都合がつかないので欠航になった。だから他の便に乗って下さい」
と云うんですよ。
これにはびっくりしましたね。でも欠航なら代替の便を指定して呉れるの
だろうと多寡をくくって居たら、自分で探して掛け合えとのことです。
アメリカのローカル線の飛行便は日本のバスと同じ感覚という事をこのとき
初めて知りましてね。
そこからが大変でした。慣れない英語で必死に掛け合ってようやっと
「仕方ない、乗せてやろう」という横柄な係員の態度にも感謝し、ようやく
しがみついた訳でした。
実は、このときの経路にはトランジェントがもう一つあったんです。
大きな空港には出口をでるとシャトルバスが走って居ますね。ただ、
各航空会社の出発、到着口を廻っているだけなんですが、人に聞いてこれに
乗ったんです。ところがいつまで経っても目的の航空会社がない。
ついに元の場所に戻って来てしまったんです。
そこで今度はお巡りさんを捕まえて聞きましたよ。流石に親切に教えて呉れ
ます。安心して乗っているうちに、みんな降りてしまい車庫のようなところ
で下ろされてしまいました。
慌てましたね。ご存じの大きなアタッシュケースをゴロゴロ、ゴロゴロ
と引きながら駆け出し、探し回りました。それからどうしたって?
結果は何とかたどり着いたんですが、ほっとして窓口にゆき、搭乗手続き
をしようと思ったら、「もう時間切れなので飛行機のドアは閉めたよ」
といわれ本当にそこに座り込んでしまいました。腰が抜けたとでもいう
んでしょうか。
でも流石アメリカ、可哀想に思ったのかもう一度ドアを開けてくれて
事なきを得たという次第です。
「そんな英語でよくもまあ飛び回るね」ですって?でも仕方ないんですよ。
欧米慣れした鬼のような上司がいましてね。「すぐに飛んでこい!」
「あっちへ行け!」でしたから。
あれはオーストラリアへ行ったときの事でした。やっとの思いでホテルに
入って食事をと思いレストランに行きました。
ご存じの方が多いと思いますが、オーストラリア英語は特有の訛が多く、
然も地方に行くと特に分かりません。とんちんかんな注文をして待っている
と、なんと訳の分からない食べ物が山のように出てきたではありませんか!
洒落たレストランで、意外な食事が、然も山のように出てきたときの恐怖
を味わった事がありませんか。廻りの紳士、淑女がみんなこっちを見て
くすくす笑っているように感じました。
その時の感情は今でも不可解ですが、余分なお金をテーブルに置くと
一目散に逃げ出しました。でも、腹は減る。何も食べずに次の日まで我慢
していました。このときくらい上司を恨んだことはありません。食べ物の
恨みは怖いんです。
アメリカの話に戻ります。艱難辛苦で到着したのですが、それでも仲間に
会えて、ほっとすると遊び心が出てきますよね。
誰かが、ポルノショップに行こうといい出しました。ポルノといっても
よく、出張者がお土産に買ってきて、時々成田空港で捕まったりする
いわゆる「BOOK」の店なのです。
ああいう店に入ると日本人は妙に後ろめたく、無口になるようです。
欧米人のようにオープンではありませんね。私も同様に、おどおどしながら
店を廻り、ためつ、すがめつして品定めする勇気もないので、狙いをつけて
パッと取り、金を払うとあたふたと表にでました。
皆とホテルに帰ってからよく見たら、なんとmale to maleでした。
そんな趣味は無いんでそのまま屑籠に捨てたんですが、誰かがこれを
見ていたんですね。それからは格好の笑い話の餌食になってしまいました。
こんな話をしていたらキリがありません。ではまた。
<ゴキブリの感想>
大なり小なり、こんな経験はみんな持っているんだろうと思う。
この人は単に赤ゲットの集大成のように見えるだけだろう。
隠さないところが良い。この人は大物になるぞ!きっと。
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