ごきぶり日記194
さて、あなたの財産は?
歴史は繰り返し、経済もその歴史を繰り返す。
1929年(昭和4年)10月24日(木曜日)、ウォール街で株価の大暴落が起こり、
パニックに陥った。銀行は続々倒産、失業者が街に溢れる。国際間の資金の流れ
は止まり、瞬く間に世界恐慌に広がった。日本でいう「昭和恐慌」である。
当時、アメリカは好況の絶頂にあり、自動車、住宅が売れ、賃金は鰻登りに
上昇していた。200万人といわれる個人投資家は「株式市場でプレーすることが
アメリカ人の大きな娯楽になった」と言われるほど、株の上昇軌跡だけが話題に
なるほどに熱狂した。特に昨日、今日に株式を始めた人、その中でも女性が
多かったという。(「週刊20世紀−朝日クロニクル」から)
70年以上前の昔話だが、今のアメリカを見ているような話である。
大手証券会社が個人の資産管理に力を入れ、大幅な利益を揚げている。
個人の資産を丸ごと把握して、これを増やしてあげましょうということだが、様々
な不祥事を繰り返して来た大手証券のこと、何をされるか分からないという不安
も付きまとっている。
ひと頃は、アメリカ流で3億円以上の資産を持っていないと相手にしないという
話もあったが、どうやら最近は持っていれば幾らでも良いらしい。
株の売買手数料は売りと買いで約2%、投資信託は3%である。
何しろ買った額面、あるいは売却した額面に対する手数料率、つまり売買代金の
絶対額だから、投資家の損益には全く関係なく、株価が上がって取引が活発に
なっても、暴落が起こって狼狽売りで売りが先行しても儲かる勘定になる。
手数料が自由化になっても証券会社間の差は依然として大きい。
ネット取引を例に取ると、大手が片道(売りか、買いか)で約1%なのに対して
ネット専門証券は0.1%と約10倍の格差がある。
大手は「手数料は下げない。だが、その分だけ顧客に密度の高い情報を提供する」
と言う。だが、情報はインターネット上に氾濫している。Web上で研究し、ネット
取引をやる人にとっては“余計なお世話”だし、この手数料は馬鹿にならない。
細かい売買でも繰り返しているとすぐに1000万円になる。(回転している額だから
こんな大金を持っている訳ではないが)この金額に対して証券会社に10万円を
払うか1万円で済むかの違いなのだから、庶民に取っては小さくない。
証券マンには新規発行株、転換社債などのノルマが降りかかって来るから、
そうした個別物件の勧誘はあるが、この会社の株が買い時ですよ、と言う言葉は
絶対に吐かない。そんなことを言えば共同責任になり、損失補填を要求されかね
ないから当然である。
大手証券会社は、それぞれアナリストを抱えており、会員情報として幾つかの物件
をあげて専門的な難しいコメントを書いているが、よく見ると文章の至るところに
逃げ道があり、結局は“買い”を進めているのかどうか良く分からないものが多い。
経済は生き物である。世界市場の動き、為替の変化、各国の景気動向、機関投資家の
仕掛け、個人投資家の気分や動揺など、ありとあらゆる要素が複雑に絡み合って変化
するから、結局はアナリストにも分からないのだ。
「当たらずと言えども、遠からず」というところである。それにアナリストの
個性が絡む。ある大手の証券マンが、“うちのアナリストは強気なんですよねぇ”
と困ったように話していたが、八卦見のようなものだからそのまま請け売りして
薦めれば、顧客が損失を出した時は自分に火の粉が掛かることを心配しているに
違いない。
いずれにしても、今は大手証券会社が儲かるように出来ている。
投資家が大いに勉強して、これに頼らずに自分の判断とリスクで取り組むように
なればこの仕組みも変わってくる。
もっとも、サイコロの丁半ばくちにも読みと勘の冴えが必要なのだから、バク才の
無い人は始めからやらない方が良いのかも知れない。
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