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DIARY

ごきぶり日記193

座して喰らうか


財政赤字が500兆円に及ぶと報じている。消費税を上げるといえばすぐに生活に 響くから、これは大変な事だと実感が沸き上がるものの、こんな数字になると 庶民には一向にピント来ない。

ところが大変な数字であり、大変な問題を抱えている事は間違い無いのだが、 どうも議論の焦点が抽象的になり、仲々核心に触れようとしない。
孫や曾孫がこの膨大な借金を背負わされ、四苦八苦すると言われても、誰しも 自分には関係無いと思うし、今の景気を良くしてくれ、今の生活をもっと裕福に して欲しいと願う気持ちが先走るのは、仕方のない話かも知れない。

時代はエゴ全盛の時代だから、“日本の将来の姿を展望して、素晴らしい日本を 作ることが、子孫のために我々の為す事だ”などどいうビジョンなど何処かに 吹っ飛んでしまう。
ある女性の経済評論家が「この財政赤字の何処が問題なのか分かりません。 景気が良くなればこんな数字はたちまち無くなってしまうのですよ。もっと財政 出動して当面の景気を良くする事です」と得意気に話していた。

評論家とは何と気楽な稼業かと呆れ返ると共に即時、テレビ局に「こんな バランスの欠けた評論家を重用するとメデアとしての識見を疑われますよ」と 投稿した。聞くところによると、同じような非難が集中したらしい。
恐らくこの評論家は、日本人は1300兆円に及ぶ貯金を持っている。それなのに 500兆円の借金が何故問題なのかというのだろう。

高齢化時代を迎える高齢者の貯金を当てにして、数字合わせの議論をしてギャラ を貰っているのだからやりきれない。
確かに高齢者はお金を持っている(らしい)。永い時間を掛けてこつこつと貯めて、 一番良い時代の退職金を受け取り、今や何不自由無く暮らしているのかなと思う。

会社なら現なまの資産を山ほど持ち、その半分が有利子負債であっても、経営の 先行きが明るく、堅実ならば心配は無い。それでも有利子負債は膨大な金利を生み、 経営に重くのし掛かる。
ましてやこの金が高齢者のものであれば、1300兆円は回転して利を生むものでは なく、消費するだけである。

世はゼロ金利時代、これほどのお金も「座して喰らわば山をも空し」であって あれよあれよという間に無くなってしまうに違いない。
国家財政が逼迫して、国債を乱発すれば格付けは下がり、金利は上がる。 蓄えが減ればこれに拍車が掛かる。財政当局はこれを心配しているのだろう。

“景気が回復すれば・・”と言うのは回復即、バブル時代の再現と思っているの だろうかと疑う。
完全ボーダレスの世界ビジネスは過酷なサバイバル戦争に入っている。では日本 の国際競争力はどうなのか。IT産業は中国、台湾ほどの活力は無く欧米に数段の 遅れを取っている。日本のIT産業は勝てるのかと危惧する人も多いのである。

「子孫に美田を残さず」とは、親の残した財に頼らず、自力で生きる道を探せと いう教訓と思うが、税負担が大きくなり、生存競争が過酷になる将来を考えると 子孫に美田とまではいかないものの、及ばずながら、なにがしかを残さなければ ならないのかも知れない。

 

 

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