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DIARY

ごきぶり日記191

SOHO起業家支援の疑問


通産省が、SOHOの総合支援策を纏めたと報じている。(6月7日 日経新聞一面)
SOHOの代理業者(エージェント)と大企業が参加する「マイクロビジネス 協議会」を七月に発足させ、インターネットを使った受発注の仲介システムで これによってSOHOを支援し、雇用拡大に繋げる考え方という。

ベンチャー育成とは違ったドメインだが、官主導の雇用拡大という意味では一見、 成る程と思わせる。だが果たして思惑通りに行くのだろうかと首を傾げたくなる。 此処でSOHOに出すものは一体どんな仕事なのだろうか。現状、SOHOはどんな顧客 と、どのような取引をしているのだろうか。

例えばハード、ソフトなどの開発設計を例に取って見ると、企業は内部に膨大な 開発人員を抱えている。それだけでは無く、バブルで仕事は関連企業、系列企業 に拡散され、そこでも数多くの技術者、または技術者ライクが居る。
細かい仕事ばかりならSOHOに分配する悩みもなかろうが、大企業のテーマは 得てして大きなシステム、装置開発が多い。日本はNASAのようにシステム工学が 発達していない。昔からこうした大物には技術者の大集団が寄り集まって、 人海戦術で進める習慣がついており、管理者も技術者を一堂に集めないとマネージ メントが出来ないと思い込んでいる。

だから社員と一緒になって進めるなら外部の人間を使う出来るということになり、 すぐに技術者を派遣して、そばにいてやってくれという要求になる。
大きな仕事を機能別に分割し、それぞれ得意技術を持つSOHOに、責任を持たせて 委託した方が効率的で、開発コストが安く出来ることは理屈である。
だが、SOHOに委託するには先ず仕事を切り分け、範囲と責任をはっきりさせ、 価格を決めて契約をしなければならない。

ところが日本企業は、こんな欧米的ビジネスをやったことが無いから、仕事の 切り出し方を知らず、分割して発注し、これを纏めることが出来ないのが実態 なのである。
どんなに大きな仕事でも機能は分割出来るものであり、それぞれについて機能と インターフエイスを定義し、これを纏めて行くのがシステム工学的なのだが、 こんな欧米的な発想は日本企業には少ないし、また訓練されていない。

だから勢い、技術者を派遣してくれ、こっちに来て一緒にやってくれという要求 になってしまう。それではSOHOではなくなってしまう。
冒頭の考え方は如何にも尤もらしい。大企業も賛同している。だが実行部門は、 “そうは言ってもねぇ・・”と仕事を切り分けようとはしないだろう。 「責任が持てなくなる」とか、「内容が分からなくなり顧客説明に困る」とか 変な理屈を付けるに違いない。

加えて、日本企業は系列とか協力会社という膨大な衛星集団を抱えている。 不況と競争の激化で仕事が減り、これらの中小企業集団も大いに苦しんでいる。 だが、永年の因縁は簡単に断ち切れるものではなく、何とか喰わせて行かなけれ ばならないのが現実である。
この関係は個別取引の契約など存在しないファミリーとしての連携で成り立って いる。だから問題が発生しても責任の所在などはっきりさせない。いや、明確な 開発プロセス作り、責任分担の切り出しとマネージメントが出来ないので責任を 追及することが出来ないという方が当たっている。

見事なプロジェクト管理によって、仕事の切り分けが出来れば、小企業あるいは SOHOが分担部分について責任を持ち、本体はこれを集約してシステム構築を行う という責任分業になるのだが、これが出来たと仮定しても大きな問題が発生する。 つまり本体の有り余った人員を整理しなければならなくなるからである。
恐らくエージェントは先ず、この問題、つまりSOHOに仲介する仕事が無いという 問題にぶつかるに違いない。

元々が「切れの良い仕事」「細かい仕事」など、そう多くない。
こんな大きな開発設計の問題ではなく、雑用程度の仕事なら話は別だが、お付き 合いで、お茶を濁す程度に仕事を出すならば、雇用拡大など夢物語である。 日本固有の企業体質を知らず、先走っても結果は出ない。

 

 

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