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DIARY

ごきぶり日記179

腐敗は進行する


一昔前のニューヨーク。
警官の腐敗がひどく、マンハッタンの治安は最悪だった。もともとマンハッタン は治安の悪いところで白昼、ワールドトレードセンターの前で、ホールドアップ された挙げ句の果てに射殺される事件がしばしば起こった。

金を持っていないことが分かると顔を見られた相手を射殺してしまうのである。
それ程凶悪な事件でなくとも、旅行者と見ると強引に旅行鞄を持ち、地下鉄に 連れ込もうとする。その当時の地下鉄は無法地帯であり、地下鉄に連れ込まれたら どうなるか分からない。何しろ、鉄格子で固められている切符売り場の鉄格子の 隙間から、銃口を突っ込んで売り子を射殺するという事件もあったくらいだから。

そんな時、助けを求めても警官は知らないふりををする。そんな小さな事件が きっかけで黒人の暴動が起こることがあり、警官自身も自分の身に危険が迫る から、安い給料でそんなことに関係できるかと知らぬ顔をする。
だから、自衛のために胸のポケットに10ドルか20ドルを胸のポケットに入れて 置き、いざという時はこれを道路に捨てて逃げるということが常識だと教わった。

背広などの内ポケットはピストルの格納場所らしく、こんなところに手を入れれ ば相手も危険を感じるから、すぐに射殺されてしまうという。
当時のニューヨーク市は今の東京のように、すぐにも破綻しそうな財政危機に 面していた。だから予算は切り詰められ、警官の志気は低下し、無法地帯に近い 状態になってしまったのである。

その当時の日本の警察は検挙率も高く、世界に誇る安全な国であったから、恐怖の マンハッタンだけの治安の問題と傍観していることが出来た。
だが、昨年末から警察官の不祥事が10件にも及んでいる。次々と矢継ぎ早に起こる ので一々覚えていられないくらいである。

関係者の中には警察が許認可権を持ってから検挙率も大きく下がり、規律が乱れ たという人がいる。そうならば内部腐敗が始まっているということだろうか。
警察というところは、特殊社会だから、その家族主義と団結は厳密な階級制度に 守られて想像を絶するほど堅く、到底一般人に内情は理解出来ない。

その後、マンハッタンは市長の努力がみのり、市の経済状態が改善されたので 警察の予算も増え、その後何回か通ううちに見違えるほど良くなって行った。 知っての通りアメリカは自治体警察が主体である。勿論、広域警察としては有名な 連邦警察(FBI)がある。
戦後、日本でもGHQに指示で都市警察は自治体警察となった歴史があるものの、 地方行政との問題が多く、すぐに廃止になった。現在の自治体警察としては東京都 の警視庁が残っている。

市長が真剣に取り組み、努力すれば改めることが出来る。だが今、日本で起こって いる事例は県警、つまり警察庁管轄の国家権力なのである。
問題は綱紀のゆるみ、自覚と品格の低下、家族的隠蔽で、見ようによっては小さな ことに思われるが、そのまま進行すればマンハッタンの二の舞になる。 単なる一自治体ではなく、国家権力が腐敗したのでは救いようがなくなるだろう。

何事もアメリカから10年、15年遅れで、その姿がコピーされて来た日本だから、 人ごとではないのである。この芽は今のうちにつみ取らないと大きな禍根を残し そうだ。

 

 

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