ごきぶり日記174
「どこかヘンだよ」とは悠長な・・・
何を急いでいるのか女の子が混雑している駅構内を猛スピードで走っていく。
誰かと体当たりする。明らかにその子が悪い、と見ていると、“フン”という
ように顎を上げて、相手をぐっと睨みつけ、また走り去った。
電車の中など意に介しない、とばかりに携帯電話で他愛もない会話を繰り返す。
若者がもうこれ以上は開けまいと思うほど股を開き、通路の真ん中まで足を
伸ばしてタヌキ寝入りを決め込む。だが、誰も注意もせず無関心を装う。
今や人に、子供たちに注意を促すことは命がけなのかも知れない。
2月5日(土)の朝日新聞一面、「どこかヘンだよ日本の子供」をご覧になった
ことと思うが、「外国と比べ、日本は家庭の教育が不十分で、ほかの子供と
かかわりを持とうとしない−。こんな様子が四日、文部省の国際比較で浮き彫り
になった」と前置きして、主要先進国と他人との関わり合い、親子の関係に
ついて比較をしているのだが、流石?文部省、今さら何を言っているのか、と
憤りに近い感想である。
子供は社会の、親の鏡であり、その姿を忠実に映し出す。ということは親、その
ものが社会と人の正常な関わり合いを教えて来られなかったということになる。
そのまた親の年代は戦争という極限で、人間の生死の境をさまよう苦難を味わって
いるのだから、そこからの半世紀が、国作り、人間作りに関する政治の失態に
他ならない。
他人事のように統計を取って一体、何をしようということなのだろうか。
欧米社会の子供の躾けの厳しさは、何も今に始まったことではない。
“鉄は熱いうちに打つ”例え通りに社会人としての責任と自己責任を徹底的に
植え付けることを知らなかった筈はない。それですら貧富の差、人種差別、
果ては企業エゴなどによって、歪められた特異犯罪が多発している。
動機も意味もない殺人、誘拐などが毎日のように起こっている。一見、社会の
歪みによって起こる、ごく一部の精神錯乱者の現象で、大方は正常なのだと
信じたいのだが、親が我が子を叱らない、叱れない友達関係となり、子供のする
ことに腫れ物に触るようにオロオロする、あるいは何をやろうと知ったことかと
いう無関心が大きな波のように広がっているのではあるまいか。もしそうなら、
日本の社会は崩壊に向かって進んでいるということになりかねない。
金儲けに狂奔したバブルという化け物が日本人の心情を崩壊させたことは間違い
ない。バブルが崩壊してまた、その心が戻るかと期待したが、アメリカのIT
バブルに引きずられ、またもや個人投資家という別名で一攫千金の亡者が急増
している。金で心は買えない。「宵越しの金はもたねぇ」とすっかんぴんを
誇った江戸っ子は、金が心を失わせることを知っていたのかも知れない。
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