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DIARY

ごきぶり日記173

メカニズムの中で泳ぐ


アミューズメント産業の中でもスポーツクラブは歴史も永く、最近の健康志向 を受けて何処も盛況らしい。
いずれもマシンを使ったトレーニング、ヨガ、エアロビクス、などを組み合わせ て、細かくスケジューリングされている。 何処も似たようなプログラムということは裏を返せば競争も激しく、経営の内幕 は案外大変なのかも知れない。

その中でもプールは、水馴れ、お散歩、ジョギング、水中体操、ベビー、 マタニティ、初級、中級、上級、エキスパート水泳、などとまさに盛りだくさん であり、それぞれにインストラクターが付いている。
お散歩はその名の通り、ただ水の中を歩くだけだが、いずれもこれが目玉に なっているらしく、必ず付いているところを見ると、腰痛、関節痛で悩む人が 多いのかも知れない。

“少し運動不足だな”と加入してみることにした。目的は気ままに泳ぐことに あって、今さらトレーニングに励む気はさらさら無いが、数10年泳ぐことを 忘れており、果たして“泳げるかな”と心配になる。
メンバーは老若を問わず女性が圧倒的に多い。此処でも女性パワーは凄いなぁ、 と実感することになる。

自由遊泳の時間でもお散歩のコースが決まっており、25メートルプールを 黙々と行ったり来たりしている。
圧巻はアクアビクスと呼ぶ水中エアロビクスであり、レオタードならぬ水着姿の (当たり前だが)女性群が音楽とインストラクターの掛け声で乱舞する。 たまにひと泳ぎと出掛けてもこうした時間にぶつかると、来てはいけない禁断の 場所に迷い込んだように気恥ずかしく、残された自由遊泳コースで小さくなって 泳ぐ。

月の会費は14,000円で家族四人までは、シリアルに行くなら同じメンバーカード が使える。どうやらこのシステムは内容から料金まで何処も同じらしい。
この金額は通う回数によっては決して安いとは言えない。 そこは女性である。会費を毎月の通う回数を回数で割って幾らになると計算し、 行かなければ損をした気になるらしく、元を取り返すため、毎日せっせと通って 挙げ句の果てに疲れ果て、風邪を引いて寝込んでしまう人も出るらしい。
「こうした会は毎月の会費が高いから、行かなければいけないと思い込み、 追っかけ回されている気になるから嫌ですよ」という女性もいる。

ある友人にこの話をしたところ、「そういうところは女性が仲間同士誘い合って 遊ぶところで男一匹、黙々と泳いだって面白くないでしょう?そりゃ根暗ですよ」 と冷やかされた。日曜日は殆どのコースが自由遊泳になっており、泳ぎがうまい 女性は一人で練習に来ているし、男性もそんな時はちらほらといるから、 あながちそうでもなかろうが、決められたコースを黙々と往復しているのは 如何に健康のためとは言いながら余り開放感があるわけでもなく、やや根暗かも 知れない。

日本海の岩伝いに自由に泳ぎながら、時には素潜りでウニを探していたこと もあったなと考えると、こんなことまで産業の仕組みにはまらなければ出来なく なったのだな、と実感する。これも人間性が欠けて行く原因の一つかも知れない。

 

 

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