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DIARY

ごきぶり日記172

地底に潜る


「地底に潜る」といっても非合法組織の話ではない。
深さ四十メートルを超える地下の利用制度を創設するため、国土庁が「大深度 地下の公共的使用に関する特別措置法案」(仮称)をまとめた。 [1月23日(日)朝日新聞一面]

三大都市圏などの鉄道、道路、電気、ガス、通信といった公益事業が対象と ある。土地所有者には原則として事前保証はしないとあるから、地権は大深度 には及ばないという論理らしい。空には日照権という障害があるが、地底は 勝手という新しい解釈を作り出した。土地収用法をより簡単に強引に行うことが 狙いともある。いずれまた物議を醸すだろうが、土地所有権とか収用法の話とは 別に、自然界に対する問題は無いのだろうか。

すでに地下鉄は大深度まで潜っている。これは何も日本に限ったことではないが 一体何処まで降りて行くのだろうかと思うほど地下深く降りて行く。
技術を信じて“立派になったものだなぁ”と感心している限りでは心配する方が おかしいのだろうが、時には奈落の底に落ちて行くような錯覚を覚える。

東京駅が地下水の水位上昇で浮かび上がっているという。ひと頃はビルの冷房 などで地下水を汲み上げたから地盤沈下が社会問題になっていたが、これを やめたら今度は地下水で東京駅が船になる。水を抜けば地盤沈下が起こる。 自然は人間の思うようにならないから恐ろしい。

新幹線のトンネルのコンクリートが剥げ落ちる。最新の力学と最高の施工技術で 周到な設計がなされていると信じたいが、自然は生きている。山は動き、 間断なく水は流れる。序々に進行する自然の変化までシミュレーションされて いないのではないかと心配になる。
それはさて置いても、打音検査というコンクリートをハンマーで叩き、その 音を聞いて異常を診断するさまは、近代的な工法の進化と対照的に、如何にも ちぐはぐである。施工技術の進化に奢り、不測の事態に対する危機管理が 全く無いことを露呈しているのではあるまいか。

先の話も「地下四十メートル超」というから、何処まで掘り進めれば気が済む のか分からないが、大げさに言えばその先は前人未踏なのではなかろうか。 地底は個人の権利外というが神の権利の領域かも知れない。温泉ならまだしも、 そのうちに神の怒りに触れて、溶岩が吹き出して来るかも知れない。
“自然の怒りに触れる”恐ろしさを知るべきだろう。

 

 

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