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DIARY

ごきぶり日記167

世紀末が暮れる


世紀末が目前に迫っている。
今世紀末最大の問題は、コンピュータの2000年問題であることは間違いない。
今や地球は一つの社会。蟻の一穴から地球の機能が麻痺することもあり得るのだ から何が起こってもおかしくない。

2000年問題でコンピュータが誤作動を起こし、制御不能に陥れば、電気は止まり 水道は出ない、銀行は扉を閉めて預金は引き出せない。コンビニには物が無い、 有っても金が無い。こう想像するとパニックが起るというのもうなずける。
だが、日本人は地獄のような混乱と、物の無い世界を痛いほど経験している。
戦中戦後は、停電は日常茶飯事、油粕を絞った大麦を炒めて頬張り、水瓶に 貯めた水にはボウフラが泳ぎ、“コン”と水瓶を叩くとボウフラが驚いて沈む、 そのすきに上澄みを汲む。

飲みたい酒はコップ一杯、一人一回の配給券を持って行列する。栄養失調になり なが らそれでも逞しく生き抜いて来た。人間は水さえあれば一週間くらいは 死ぬことはない。
不謹慎な話かも知れないが、こんな世界をもう一度体験するのも、あながち悪い とは言い切れないのかも知れない。物が有り余って、その有り難さに不感症に なり、無駄な浪費を繰り返す物質文明が人の心を荒廃させ、信じられない犯罪を 生んでいる。

混乱が起こっても、せいぜい一週間程度だろう。正常時にこんな環境を作ること は出来ないが、この混乱は現代のなんたるかを教えてくれるかも知れない。 2000年問題が無くっても天災は予告も無く襲いかかる。
神は「安全を保障するから、人間はこの地球上に住みなさい。などと云った覚え はないよ」と思っているかも知れない。だから天災は自然の摂理のなんたるかを 教える鉄槌でもある。

ましてや2000年問題は人間が自分で作った怪物が、やがて巨大化して人間に襲い かかってくる人災である。天災とは比べものにならない。
関東大震災より大きい災害が、いつ襲ってきてもおかしくない地震列島に住んで いるのだから、こんな問題に狼狽えていて生きては行けまい。

オイルショックではトイレットペーパーに行列が出来るという、パニックが 起ったが、あの気ちがいじみた現象は、現代の方がもっと大きいだろう。
近代社会というガラスの城が如何にもろいかということに尽きる。

こんな時のために、命の絆である水だけは貯めて置きたい。
火は要らないものを毀して燃やせば焼き物くらいは出来る。電気が来なければ 暗くなれば寝るしかない。そんなもんだと思い、静かな時間を瞑想して楽しむ。 やがて喰う物がなくなっても、人間は水さえあれば三日くらいは生きられる。 この鉄槌は、いろいろなことを教えてくれるに違いない。

実は誰も2000年問題を世の中がひっくり返る大問題とは受け取っていないのが 本音かも知れない。これをチャンス到来、千載一遇のビジネスチャンスとして、 商売のネタにするのに忙しいようだ。ミレニアムはキリスト教の千年紀なのだ から、キリスト教徒でなければ関係無い筈だが、これも同様に商売のネタに なっている。何とも世知辛い世の中になったものである。

 

 

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