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DIARY

ごきぶり日記164

社員の呪縛


企業、特に大きな企業には屡々マインドコントロールが存在する。
それは齢(よわい)100年の大樹に対する信仰心や武家社会の主家に対する忠誠心 というものに似ている。

そもそも終身雇用制というシステムを背景に、企業教育というツールを使って 企業体質、方針に沿った人材に育成することが、人材育成の根幹にあるのだから、 今さらマインドコントロールがあると発見したようなことをいう方がおかしいの かも知れない。一方ではこれが日本の発展を支えて来た原動力であったことも 確かなのだから、あえて否定することも出来ないのだが。

いま大手企業を中心として、カンパニー制移行、設備と人員削減、意志決定の 迅速化など、あらゆる手が打たれつつある。その構想の発表と実行を見極め ながら株価は一喜一憂するように変動する。
だが、このように環境を大きく回転しようとすると、逆に今までの教育と習性が 変化を阻んで大きく立ちはだかって来る。これまで培ってきた経営のの考え方は 社員の骨の髄まで染み渡っており、方向転換はそれ程簡単でないことが随所に 現れて来るのである。

特に伝統のある事業ほど難しい。ファミリー化が浸透していれば居るほど社員は 外を見ようとしない。頭の中では外で大きな変換が起こっていることは分かって いながら、マインドコントロールを受けた心身はついて来ないのかも知れない。 お題目は唱えるのだが、やっていることは変えようとしないのである。

大きな呪縛の中で身動きの出来ない姿が見える。「個の確立」が明らかに従来の 伝統や因習、教育に相反するということは、取りも直さず日本人の生い立ちに 反するのではないかと思う時がある。
社員は公式の発表文書によって改革が行われることを知る。組織の中では不安が 渦巻き、噂のメールが飛び交う。核心に迫る発表が無いとホッとして一時沈静化 する。

どうあるべきかという個の意見は無く、また建設的な意見を述べようともしない。
「そんなこと言ったって無理だよ。自分たちの入っている大きな器は変えようが 無いのだから。それに無理に変えようと思ったら自分だけ転がり落ちるかも知れ ないのだから」という声が聞こえる。

一方では、「eコマース」だ、ネット販売だと今までの流通構造が根本的に ひっくり返るような華やかな話題の中で、全く変わろうとしない組織もある。 変わろうとしないのではなく、今のままではいけないと思う気持ちが起こらない ようだ。過渡期と言えばそれまでだが、何処へどのように着地しようとしている のか、人ごとながら心配になる。

「長いものには巻かれろ」「親方日の丸」「お上の言うことだから」 「寄らば大樹の元」など他力本願な格言のような、言い伝えのような習性が 山ほどある日本だが、本来自分の生活の場なのだから、末端に百家争鳴の意見が 起こり、それが煮詰まって、そこから再生して自分の生きる場を確保することが 必要なのだが、そんな熱い想いは沸き上がらない。それが DNAだとすれば何とも 侘びしい。

 

 

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