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DIARY

ごきぶり日記160

ゴーン流に奇策は無い


10月28日のNHKクローズアップ現代を見た人は、日産改革に縦横無尽の大鉈を 振るったカルロス・ゴーン氏の、その手法や内幕が解き明かされるのではと 期待されたに違いない。

NHKのテレビ番組という制約があったにせよ、その期待は見事にかわされた。
ゴーン流は理屈ではなく、事前に周到な調査と分析を行い、歩き回ってすべてを 自分の目で確かめ、末端の意見をよく聞き実行に移すという、極めて当然で 地道な努力の積み重ねであった。セブンイレブンというニックネームに満足する と言っているように、朝7時から夜11時まで休み無く行動する。

何処にも奇をてらった策や趣向はなく、経営者としてやるべきことを努力を惜し まずやっているに過ぎない。コストキラーの異名をとった氏はコストを削減する こと自体が目的では無く、浮いたコストを攻めの原資にシフトして、日産を再生 することが目的と主張する。経営とは先ず目標を明確に立て企業のビジョンを はっきり示し、それを社員と共有すること、そして限りなく努力することだと 説いている。

何処にも目新しい経営手法は無い。國谷アナウンサーが、しきりに日産内部には それを阻害する要因があったのか、着任から4ヶ月日産をどう見たかという意味の 誘導尋問で本音を吐かそうと試みるが、この質問を見事に外し、すべては日産を 再生すること、それによって皆が幸せになるという言葉を論理と行動の帰結として 答えている。

欧米の辣腕再建屋の腹の中が、この言葉ですべてを表していると思うほど、人は 良くないつもりだが、これ以外にマジックがあるとも思えない。裏を返せば、 これまでの日本の経営者はこうした経営の王道を何もして来なかったし、努力も しなかったということになる。トップ自らが工場の隅々まで歩き回り、作業者の 意見を聞くことは今までに無かったという。一時は我が世の春を謳い、世界制覇を 夢見た企業が凋落の一途を辿り、ついにはアウトサイダーに改革を任せなければ 再生の道がない状態に落ち込んだ、つまり事態を認識したときに、ブレーキが 掛からない状態に落ち込んだことに問題の本質があるようだ。

改革の能力を失うほどに社内の血が濃く、どろどろになってしまったということ かも知れない。このことは何も日産に限らない。ブレーキの効かない機関車が奈落 の底近くまで、突っ込んでしまったことが、今日の混乱を大きくしていることは 間違いない。
作れば売れる時代に競争の激しさ、恐ろしさを忘れ去り、経営能力を失ったと いうことになる。永いバブルの好況は経営者のみならず社員まで、自己改革の 能力を失ったということに尽きる。

確かにリストラだけやっても意識が変わらなければ衰退する以外に道は無い。 ゴーン流はこれをパックにした改革ということになる。ゴーン流改革の成否は 今後の成果を見なければ評価出来ないが、氏は経営者としてやらなければならない 当たり前のことをそのまま実行している。

 

 

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