ごきぶり日記148
人材銀行を覗く
有楽町、交通会館。「東京人材銀行」
友人である中小企業の社長が通っているらしく、“勝手知ったる他人の家”と
ばかり、ズケズケと入り込むのに、何となく付き合って見学に及んだ。
こぢんまりだが整然とした落ち着いた雰囲気に数台の検索専用のパソコンが
並んでいる。
無駄なこととは知りながら、試しに叩いて見たが、暗証番号が無いと開けない。
「当たり前だな」とすぐ諦める。その奥には、せいぜい 6人くらいが座れる机と
椅子が二セットばかり、雇用者の閲覧ように置いてある。
棚には営業、電気、機械などと書いたプラケースに個人データが無造作に
放り込んである。
見るともなく眺めていると、経営者らしい人が5〜6人熱心にデータを括って
いる。友人が調べている脇で工学系のデータを覗き込んで見ると、なんとすべて
が一流大学の工学部出身者である。
年齢は50代から 60代が中心で中には30代、40代も少なく無い。
その経験はと見るに、何とか宣伝文句で飾ってはいるものの、言葉は悪いが
ろくな仕事をやっていない。企業がろくな使い方をして来なかったという方が
当たっているのかも知れない。「何が出来ます」と胸を張って云いたくても
いうことが無い苦しみが、紙面に滲んでいるような感じを受ける。
景気は回復基調にあると浮かれ掛かっている。一方では政府は企業が本気で
リストラをやるかどうかを見守っている。企業と景気という風向きの中で木の葉
のように舞う人々が、この記録の中で苦しんでいる。
金の亡者のような企業活動が人間が人間として生きられない、単なる物に作り
上げたバブルの結果がこの経歴に集約されているのかも知れない。
ハローワークと違って、仕事を探す目的で訪れる人は少ない。
彼の話によると暫く前には閑散としており、求人に訪れる人もまばらだったとか。
「中小企業も景気が回復しかかっているんですよ」という。そうかも知れない。
弱肉強食の企業の生存競争の厳しさを知らないわけでは無いのだが、ライオン
が獲物を屠殺し、禿鷹が腐肉をあさり、その残りを更に漁っている姿に映り、
何となく割り切れない気分で帰途についた。考え過ぎなのかも知れないが。
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