ごきぶり日記138
盗聴法
通信傍受法が成立した。いわゆる盗聴法である。
「人の会話を、当事者の同意なしに、ひそかに聴取、録音すること」なのだから、
日本国憲法第二十一条【集会・結社。表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密】の
「2項 検閲はこれをしてはならない。通信の秘密はこれを侵してはならない」
の条項に真っ向からぶつかる。
既に身代金誘拐事件のような場合の逆探知は常套手段になっており、通信傍受も
10年ほど前から、裁判官の令状によって行われている。
だが、結局は立法によらないで、裁判官個人の判断によっているのだから、裁判官
が法律を作っているようなものだ、という法的反論が大きかった。
これを立法によってはっきりさせ、堂々と出来るようにする事が目的だが、充分な
国民的議論が無いから、この先何が起こるのか誰も分かっていない。
世界各国は既にこうした法律を持っている事は確かだが、日本は軍国主義による
軍部独裁ファッショの悲劇が大き過ぎたので、この後遺症は比較にならないほどに
大きいだろう。まさに、この二十一条はその反省の産物であった。
まさか、現代にヒットラー、東条英機、ムッソリーニが現れて、枢軸を組んで、
再び日本を侵略戦争に駆り立てるなど、誰も思わないだろうが、流れは恐ろしい。
護憲派はこのアリの“蟻の一穴”を恐れるのだろう。
「人の話を盗み聞く」ということは人間の好奇心の頂点かも知れない。何の価値も
無い芸能界のゴシップに、メディアが大事な電波と大きな時間を割き、週刊誌が
売れるのも、こうした人間の好奇心をくすぐり、興味を煽ることが大きな商売に
なることにある事は言うまでもない。麻薬、密航、銃の反乱、少年の犯罪と益々
世の中が騒然としてくる。
だから、通信傍受が不可欠だという論理がまかり通る社会環境になりつつある。
そのため、何かが必要だという感覚は多かれ少なかれ皆持っている。だが、法律は
一人歩きする。人間の心理の中で“疑心暗鬼”が最も恐ろしい。
然し一方では、この「疑心暗鬼商売」は大きなビジネスになる。そう言えば、新興
宗教も、ある意味では生命保険も、「いつ何が起こるか分からない」という
疑心暗鬼が原点にあるのかも知れない。
この法律によって暗号、秘話、などの技術が更に進み製品が増えるかも知れない。
盗聴を検知する装置も出来るだろう。二本の電話線の彼方、電話局の加入者端子で
盗聴器を分岐(Wire Tpping)すれば信号のレベル、位相、雑音などに何らかの
変化がでる。いかに微少でも、これを検出すれば良いのだから簡単かも知れない。
これからまた、技術の追いかけっこが始まる。これも景気刺激策の一環と考えて、
「されば挑戦」ということか。
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