過剰時代
AさんとBさんの会話から。
A:過剰在庫、過剰設備、過剰人員。まさに何でも余っている時代だねぇ。 景気の回復は、バブル時代の遺産、つまり余り物を捨てるところから始まる、 と言っても良いのかも知れないよ。 B:過剰在庫は企業の命取りになるから大分在庫減らしは進んでいるらしい。 A:過剰設備も景気の足を引っ張っている事は確かだ。売上競争で膨れ上がった 機械、 建物、それに土地などが大きいからね。 余ったもの、古くなった機械は利益を生まないから、いわば不良資産だ。 在庫同様に経営の足かせになる。では、捨てれば良いではないかというと、 今の法律では現金を一度にドブに 捨てるのと同じだから、経営者は仲々決断出来ないだろう。 廃棄資産を長年掛けて落とす方法、つまり簿価上の月賦だが、 こんな事も考えてはいるらしいがね。 B:銀行の不良債権処理と同じだね。また、公的資金の投入が出てくるかな? A:古い設備を抱えていれば新しいものを買わない。だから設備投資が増えない。 そこで政府がやきもきする訳だが、捨てても負担にならない、経営責任になら ない 方法を考え出さないと進まない事も、また分かっているのだから厄介だ。 B:それに役に立っていなくても“帳簿上にあるからには、うちの資産だ”と 落とすのを嫌がる経営者も居るらしい。資産には違いないからね。 そんなもの抱えて居たら、いずれは死んでしまうのだから、そんな発想には 付き合って居られないがね。 A:総需要政策というのもあるよ。全体のパイを増やせば問題が無くなるという 発想らしいが、増えてくれるなら何も云うことは無い。 誰もが、もう昔のようには増えないと思っている。 一方では景気が回復しても同じものは増えないとも云う。 だから今までの設備は要らないというのでは、まさに論理矛盾ではないかねぇ。 B:そこだよ。それでは余った設備は結局は要らないという事だ。 景気が回復する。だが在来型の需要は増えない。姿、形を変えた新しいビジ ネスが増えるという事だね。新しいビジネスというのは、今はやりのインター ネット、イントラネット、などを中心にした情報通信の世界だろう? 全く新しい生命が誕生するのだから、君達は死ねということかい? 従来型の産業とそこで働いていた人々はどうなるんだい? そう簡単に置き代われるものではないだろう。 A:その通りだね。業態の転換だとか、労働力の流動化促進だとか、 評論家が言っているが、中小企業など、こつこつと物を作ってきた日本企業が、 いきなり、システムインテグレーションだとかインターネットビジネスだと 言ったってまさに“晴天の霹靂”だよ。識者とか評論家と云われる人の中には 「私はハイテクとかネットワークという話は苦手だ」と本音を吐く人間も 居るのだから、分かっているのかねぇ。 B:これから、ごちゃごちゃになって、何となく収斂して行くのかも知れないね。