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DIARY

ごきぶり日記131

千尋の谷底


Aさん。

最近、大いに疑問に思っていることが一つあるのです。
企業のサバイバル戦争が一段と激しくなり、生き残りを掛けて合従連衡が進んで いますね。当然、その結果としてコインの裏表のようにリストラが激しくなります。

失業率は5%に届く勢いで伸びて行きます。企業の実勢に応じて適正な規模に贅肉 落としをすることは、社会的な問題は大きいものの、日本企業再生のためには やらなければならないことでしょう。人件費を減らし、バランスを取るのは 経営上の原点でしょう。だからこの現象に疑問を抱いているわけではないのです。

まわりくどいようですが、私の言いたかったことは、一人、一人の人間性の問題 です。物事を進めるには良質な頭脳と意欲、それに熱意が必要ですよね。
だが、よく見るといつの間にか激しさと熱意が無くなっており、上の顔色を見て、 恙なく過ごす習性、人と争わない優しさ、部下を叱れない上司、自分の責任で 意志決定出来ない管理者が如何に多くなったかということなのです。

多くなったなどと云うより、例外なくそうなったという方が当たっているかも 知れませんよ。まるで小泉八雲のノッペラボーを読んでいるように。
これをサラリーマン化したと嘆けばそれまでですが、誰が旗振りしているのか、 纏めようとしているのか姿が見えないことをよく見掛けます。

こんなことを云うと、この不景気に抜きん出て業績を上げている会社のリーダー にはお叱りを受けるかも知れませんね。だが、そこの差こそ大きな問題だと感じ ているのです。
強烈な個性で牽引するから業績が伸びる。この点をどう学ぶかです。 人の首を切って辻褄を合わせることは、いかにもバランスが取れたと見える でしょう。市場は直ちにこれを評価して株価が上がる。これは額面の話しですよね。 人間改革をしないでバランスだけ考えているとそこからは“また、下り坂”という ことになることは間違いありません。
バブルという温室生活が永かったから、外がどんなに極寒の暴風雪が吹き荒れて いるか、仲々実感が沸かないのでしょう。 でも、人間は奈落の淵に立てば、底力を発揮することも確かです。獅子が子供を 千尋の谷底に突き落とすように、身を持って恐怖を体験させ、再び奮い立つよう な方法は無いものでしょうかねぇ。

 

 

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