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DIARY

ごきぶり日記122

新天地は北風が吹く


会社を移る。−人の会社とは−

BB君もそんなことを考えるようになったという事は、如何に日本企業の地核変動が 激しいかということだね。
永年、大企業の中に居ると、どうしてもそれが社会の総てだと思い込む。 外には全く違う次元の社会、あるいは会社があるなどと考える事はしなくなるものだ。 つまり、知らぬ間に自分の会社が絶対無二でかつ、何処も同じだという潜在意識が出来上がるのだね。

世間を全く知らず、入社以来その企業に居て徹底的に企業教育を受け、仲間と共に育つのだから自分の家族であり、兄弟と育つのと同じ環境なのだから、致し方ない。 しかも対外的には(これまでは)日本有数の大企業というネオンサインが輝いており、 対する相手はこの企業を見ているので、個人を見ているのでは無いのに、どうしても 自分が偉くなったような錯覚を起こしてしまう。

実は“他の会社”は生まれも育ちも全く違う別人種なのだ。だが、やはり自分の会社を 基準として、全く同じ物差しで測り、同じ感情で接する。
外から見る限り、他社のこうした実体と違いは全く分からないと考えるべきだよ。 だから、一旦入ってみると自分の考え方、行動がどんなに正しくでも相手の社会では全く通じず、拒絶反応を受ける。この落差は実際にその会社の一員になって見なければ絶対に分かるものではない。移ってからこうした感慨を持ち、違いに愕然とする人は多いに違いない。

同じ規模、同じ生い立ちの会社なら、それでも似通ったところがあるかも知れない。 これがオーナー会社であったり、中小企業なら全くの別世界なのだ。
大企業のように有名国立大学のトップ何番目までなどという採用は出来る筈もないから、レベルは当然低い。企業教育もされていない。だから、同じように扱うとチンプンカンプンであり、逆にこっちが気違い扱いにされる。強引に想いを遂げようとすれば、表だっては何も云わずに噂、悪口が渦を巻く。

こんな会社ばかりではないにせよ、風土、家風は恐ろしい。ある有名自動車会社の技術者で最近、定年退職した親友が、未だ在職中に初めて貴社と付き合って、「世の中にこんな会社があったのか!」と驚いたと何回も繰り返して話す。
はっきりとは言わないのだが、何処までも紳士的で、おっとりしており、激しさや厳しさが感じられないという事らしい。この自動車会社は在職中、息を抜く暇が無かったとも洩らしていた。

確かに温室である。こんな会社からいきなり外の冷たい空気に晒されたら、たちまちに肺炎を起こすかも知れない。それでは自分で会社を起こそうかと考えるかも知れないね。 充分に考え抜き、堅い決心で望むなら、それも良いかも知れない。
最近はシルバーベンチャーが大流行という。自分の育った環境、自分の能力も知らず、 我もわれもと起業に走る姿は、その先に同じ数の落胆と悲劇が待っている事を思うと恐ろしい気がする。

脅かすようだが、何をやっても甘くないという事を先ず、知る事から始まるのではないかねぇ。

 

 

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