ごきぶり日記121
不景気が迷走する
何とも支離滅裂で良く分からない世の中である。
景気が悪いことは確かだろう。受注の激減、貸し渋り、倒産、と悲惨な話が尽きないし、不況トンネルの先に明かりが見えた、いや全然見えないと喧々囂々(けんけんごうごう)と議論している。
と思うと一方では東急日本橋店の閉店セールが益々エスカレートしている。
集計結果は一ヶ月間で延べ164万人、売上高204億円とのこと。実に半年分の売上をひと月で達成したことになるという。そう言えば29日にこの人でを捌いている係りの人が「最後の二日、30日と31日は入場制限をするので今の内に買っておいた方が良いですよ」と耳打ちしていた。
良いものが半値、七掛けで買えるとはいうものの、欲しい物、買う目的も無く何でも良い物だろうから買うというこの心理は何だろうか。オイルショック当時のトイレットペーパーと同じ心理かなとも考える。特に靴の売場はテレビでも放映していたように凄かった。品定めをする余裕など無い、袋に放り込んで買って帰ってから分別するそうだ。店の方もこんなことなら始めから安売りすれば良かったと思っているかも知れない。
そう言えば、年中閉店セールをやっている店があった。良く見たら閉店セールという店の名前だったというジョークである。みんな金を持っているんだなぁと感心すると同時に、では不況って一体何なんだろうと困惑する。
地域振興券が出始めた。予算のバラマキはあまり肌に感じないが、この振興券の映像を見る限り、バラマキそのものという実感が露骨に伝わって来るのが侘びしい。
それは貰う方はなにがしでも有り難いに違いない。大方が子供のオモチャに消えるかも知れない。だがすぐに、この子供たちに重税として跳ね返って来ることは間違い無いのだから何ともやりきれない。貰えない人が僻んでいる。若い父親が「子供から貰いますよ」という話も実感がこもっている。
モノが有り余って金が動かないデフレーションだからといって、「金をバラ撒いてやるから、さぁ使え!」式の単純な景気対策が大いに気になる。国の家計はパンク寸前の赤字だが、今はそんなことは構っていられない、だから思い切って金をばらまくということらしい。景気が良くなれば国に金が戻ってくるという考えを否定する気は無い。だが、そうすればまたバブル時代の景気が復活するとでも考えているのだろうか。
それにしても、一ヶ月間に延べ164万人が入店して、200億円余の金を使うほどの在庫があったことも驚きだ。それでは経営が成り立たなくなるのは至極当然である。
図らずも閉店セールで突っ走り経営の中味が暴露されてしまったということになる。だが、この「閉店セール狂想曲」にはもう一つの面があった。
300年以上続いた白木屋が消えて無くなる寂しさに閉店後も立ち去りかねている人々の想いがあったのが、せめてもの救いであった。
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