ごきぶり日記120
白木屋の終焉
東急日本橋店の閉店セール「店じまい在庫一掃・売り尽くし」が連日、狂気のような
盛況だそうである。“甘い砂糖に群がる蟻の大群”と新聞は報じている。いや、
“死肉に群がる禿鷹の集団”の方が適切なのではないか。
日本橋 白木屋。1652年(承応元年)京都で材木店をを始めた木村彦太郎が元祖と
云われている。日本橋白木屋として本格的に稼働し出したのは1928年というから、
ここからでも70年の歴史になる。山の手の婦人が顧客に多かった。神田住まいの叔母
も、こよなくこの白木屋を愛していたことを思い出す。
1932年、大火事で死者14人、重傷者21人を出したが、和服姿の奥様方は恥ずかし
くて飛び降りることが出来ず、被害が大きくなったことは有名である。
その後経営が思わしくなく、東急百貨店と合併したのが1967年。暫くは白木屋の名
を残したが、その後は東急日本橋店として現在に至っていた。この店もバブルの
終焉とともに消えて行く。
このセールは正月2日の初売りから31日まで続く。23日までの入店者数127
万人、売上が98億円、主な品目別の売上の伸び率は前年同月比で29倍から57倍、
店頭の行列は1500メートルという。(1月24日、朝日新聞34面)
“良いものが安ければ何でも買うわ”という話も今の深刻な不況とどうつながって
いるのだろうか。
片や銀行は未だに膨大な不良債権を処理出来ず、貸し渋りが一向に収まらない。
倒産は過去最大を記録しており、失業率は10%に及ぶと予想されている。
政府は天文学的な財政赤字などどうとでもなれ、というようにこれでもか、これでもか
とバラマキ政策を繰り返す。小学校の学級崩壊が進み、少年犯罪が凶悪化する世紀末
的な世相とこの消費者行動との関係はどう説明すれば良いのか。
この消費者層は中高年が殆どという。それならば景気対策の減税とは直接的な関係は
ない。持てる中高年が世紀末を知り、えぃままよ、この際全部使ってしまえと考え出し
たのではと思わせる。現代は単なるバブル最盛期との比較において大不況なのであり、
昭和初期の恐慌からすれば贅沢な話である。
|