純血主義
<ゴキブリの前置き> 久しぶりにAさんとBさんが話し込んでいる。 関心事はやはり最近の景気動向。政治、経済の問題から企業の問題に話が移っているようだ。
<A>規制緩和は世界の流れ、やらないでモタモタしていると日本だけ置いて行かれると云う事だろうね。 そして世界中に迷惑を掛ける。 それにしても仲々進まないねぇ。 ビックバーンは金融の問題だけではなく、あらゆる業種を巻き込むね。 でも、企業が余り変わっていないように感じるがね。 <B>うん。ボーダレス社会になる。あらゆる垣根を取り払おうというという事なんだから、今まで日本はこ うやって来たという考え方は全部が通用するとは限らない。同じような企業活動をやっていながら構 造も考え方も全く違うからね。完全に垣根が無くなった時どんなことが起こるか、ある点では楽しみ だよ。 <A>無責任な事を言うよ。何処がそんなに違うと思っているのかい? <B>話し出したら切りがないけれど、一番気になるのは日本企業の「純血主義」だと思うよ。君も知って いるように、アメリカでは自分のところより良い製品が出るとすぐにOEMを考える。相手の製品を 自分の顔に変えて売るわけだから手っ取り早い。誰が見たって何処の製品かすぐ分かるのだが、 そんな事は一向に頓着しない。もっとも自分のところで開発が進めばOEM契約などすぐ破棄して しまうがね。日本でも大分アレルギーは無くなったようだが、まだまだ抵抗がある。 <A>云われて見るとこんな話があったよ。ある会社にある製品開発を頼んだら、頼んだところが内容が 全く分からなくなった。つまり技術ノウハウを握られた。だから今後はその会社の社員を組織の中 に組み込んで使うんだと云っていた。 <B>純血主義の良い例だね。アメリカならさしずめサブコンとして堂々と表に出して戦うだろうね。だが、 日本の系列とか下請けというものは仕事毎にはっきりした 契約など無く、絶対的な中央の命令の 元に上意下達、あうんの呼吸で永年やっているんだから、大分違うんだね。 でもね、どちらが速いか、効率が良いかは自明の理だと思うのだが。 <A>そうだね。日本方式の場合は本体に有能な管理者が多く、整然としたマネージメントが出来れば 良いのかも知れない。でも最近は疑問だよ。 <B>よく話すんだけれど、カリフォルニアのサンノゼにレッドライオンというホテルがあるが、そこのロビ ーの喫茶コーナーでコーヒーを飲んでいると後ろから情報が流れてくるという有名な話がある。 あそこは私もよく通ったのでわかるんだが、アメリカの技術者の中には「情報は流すためにあるも のだ」という考え方がある。彼らは業界を一つの会社として流れ渡るのだから「純血」なんて何の 事か分からないよ。 <A>今年も3月期は大手企業でも売上高純利益率が、0.2%とか1%とか云っている。これは赤字転落 の瀬戸際にいるということだね? うかうかしては居られないな。 <B>要はどちらが勝つか、勝ち易いかだろうね。でも純血主義は問題だよ。